鮟鱇鍋

鮟 鱇

 

【鑑 賞】 鮟鱇の七つ道具のどれに箸を

昭和時代の俳人・大野林火(おおのりんか)の俳句作品。

鮟鱇のどの部位から食べようかと迷っている心境が強く感じられる句。

 

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以下、季語「鮟鱇」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 鮟鱇

(ひらがな) あんこう

(ローマ字) anko

 


季 節


 


【分 類】


動物

 


【意味・説明】


食用とされる鮟鱇には捨てるところがないと言われ、身、皮、肝、胃、卵巣、ヒレ、エラを「鮟鱇の七つ道具と呼びます。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あらたまの火を呑んで鮟鱇老いせぬや
(中勘助)

鮟鱇ありと答へて鍋の仕度かな
(正岡子規)

鮟鱇がふぐに恋する小泥海
(中勘助)

鮟鱇と汝が愚魯と吊さんか
(永井龍男)

あんかうに一膳めしの行燈哉
(正岡子規)

鮟鱇のあぎとの残る鈎を見き
(八木林之助)

鮟鱇のあるかなき目の凍てにけり
(百合山羽公)

鮟鱇の肝うかみ出し鮟鱇鍋
(高浜虚子)

鮟鱇の肝一樽や春の雪
(鈴木真砂女)

鮟鱇の肝蒸し上る雪催
(鈴木真砂女)

鮟鱇の切られ切られて骨透明
(羽部洞然)

鮟鱇の口して義歯の型とらる
(田川飛旅子)

鮟鱇のごとく胃袋は何んでも食いたがる
(橋本夢道)

鮟鱇の腸より天主立ちあがる
(平井照敏)

鮟鱇の煮ゆる間侍り女将たり
(鈴木真砂女)

鮟鱇の骨まで凍ててぶちきらる
(加藤楸邨)

あんかうは癖のなき魚箸伸ばす
(高澤良一)

鮟鱇やかげ膳据ゑて猪口一つ
(飯田蛇笏)

鮟鱇を一尾といふも愚かなり
(相生垣瓜人)

鮟鱇を吊せし下の魚かな
(山口青邨)

鮟鱇を煮るにも痩せて書淫の手
(石川桂郎)

寒波来鮟鱇肝を値打とし
(鈴木真砂女)

惨憺たる鮟鱇の顔今日終る
(岸田稚魚)

自転車の荷台に鮟鱇積み帰る
(高澤良一)

角のない牛といはれて鮟鱇提ぐ
(大野林火)

出刃を呑むぞと鮟鱇は笑ひけり
(阿波野青畝)

なりはひの日々鮟鱇と顔合はせ
(鈴木真砂女)

橋の上で打切る鮟鱇底響く
(中村草田男)

紐になり了る鮟鱇の吊し切り
(田川飛旅子)

水揚げの鮟鱇ビロード光りせり
(高澤良一)

 


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