牡丹鍋
【鑑 賞】 ぢぢとばばよべの残りの牡丹鍋
大正後期から昭和末期にかけての俳人・山口青邨(やまぐちせいそん)の俳句作品。
「ぢぢ、ばば」という語に面白味が感じられる句。
以下、季語「牡丹鍋」の解説です。
【表 記】
(漢字) 牡丹鍋
(ひらがな) ぼたんなべ
(ローマ字) botannabe
【季 節】
冬
【分 類】
人事
【意味・説明】
牡丹鍋(ぼたんなべ)は、猪肉と野菜などを煮込んだ鍋料理で、猪鍋(ししなべ、いのししなべ)と呼ばれることもあります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
家の中獣のにほひ牡丹鍋
(山口青邨)
隠し湯はなほこの奥や牡丹鍋
(小路紫峡)
語らひの尽きぬとろ火の牡丹鍋
(西村美枝)
神奈備の山ふところの牡丹鍋
(清水能舟)
雉鍋につづきて牡丹鍋出たる
(右城暮石)
虚子虚子と呼び捨ての衆牡丹鍋
(石田小坡)
玄関に熊の剥製牡丹鍋
(右城暮石)
丹波第一夜を更かす牡丹鍋
(鷹羽狩行)
取皿の脂こほり来牡丹鍋
(茨木和生)
箸にかかるものなくなりし牡丹鍋
(右城暮石)
箸も急き盃も急き牡丹鍋
(阿波野青畝)
風狂の貌並びけり牡丹鍋
(老川敏彦)
火のまはりよき花冷えの牡丹鍋
(能村登四郎)
牡丹鍋あり駅前の旅館にも
(右城暮石)
牡丹鍋いまも丹波の炭使ふ
(百合山羽公)
牡丹鍋うしろあらあらしくありぬ
(金田咲子)
牡丹鍋建国の日に加はれる
(百合山羽公)
牡丹鍋すでにして橋がかりなり
(岡井省二)
牡丹鍋食べて吉野の山歩き
(小島健)
牡丹鍋煮えたぎらせて運び来し
(右城暮石)
牡丹鍋みんなに帰る闇のあり
(大木あまり)
牡丹鍋よごれし湯気をあげにけり
(草間時彦)
行きい行き丹波の宿の牡丹鍋
(石塚友二)
ゆく年をゆかしむるなり牡丹鍋
(森澄雄)
酔えば怒る癖いつからぞ牡丹鍋
(楠本憲吉)
【関連季語・子季語】
猪鍋
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