白い屏風

屏 風

 

【鑑 賞】 見馴れたる物静かなる屏風かな

大正末から昭和後期にかけての俳人・後藤夜半(ごとうやはん)の作品。

屏風に描かれているものに想像が色々とふくらむ句。

 

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以下、季語「屏風」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 屏風

(ひらがな) びょうぶ

(ローマ字) byobu

 


季 節


 


【分 類】


人事

 


【意味・説明】


屏風の語源は「風を屏(しりぞ)ける」です。

本来は、寒さを防いだり、間仕切りのための道具として使われましたが、次第に美術品としての地位を獲得するようになりました。

屏風を数えるときの単位は「隻(せき)」、二つの屏風が対になったものは「双(そう)、雙(そう)」とするのが一般的です。


The etymology of byobu is “prevent a wind”.

Originally, byobu was used as a tool for partitioning, preventing cold, but gradually gained the position as a work of art.

The unit when counting byobu is “隻(seki)”,and what two byobu are paired is generally counted as “双(so),雙(so)”.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あかあかと屏風の裾の忘れもの
(波多野爽波)

一双の秘蔵と見ゆる屏風かな
(後藤夜半)

一雙の屏風の源氏物語
(高橋淡路女)

今消ゆる夕日をどつと屏風かな
(山口青邨)

宇治に来て屏風に似たる茶つみかな
(上島鬼貫)

海に入る日をこころとし屏風書く
(宇佐美魚目)

奥の間へ祭屏風の松つづき
(皆吉爽雨)

垣間見や屏風ものめく家の内
(飯田蛇笏)

風音の屏風の内に聞えけり
(高浜虚子)

虚子屏風前に主客の白地かな
(井上雪)

銀屏の夕べ明りにひそとゐし
(杉田久女)

くらがりに七賢人の屏風かな
(山口誓子)

このうしろ禍福のせめぐ屏風かな
(宮武寒々)

小屏風にかくれて寝ねし女かな
(長谷川かな女)

小屏風のうちの炬燵にくつろぎて
(高浜年尾)

古屏風の剥落とどむべくもなし
(松本たかし)

五月雨や色紙はげたる古屏風
(斯波園女)

しめやかに起居見らるる屏風かな
(吉武月二郎)

すき焼や屏風絵の川流れゐて
(池田秀水)

たゝまれし屏風の傍の黄水仙
(上村占魚)

たはれめの彦根屏風の絵にも萩
(森澄雄)

ちりかゝるむしろ屏風のもみち哉
(正岡子規)

はしか子に古りし屏風をとり出だし
(京極杞陽)

ははそはの習はれし絵の屏風かな
(後藤夜半)

貼りまぜの屏風や失せし友の句も
(及川貞)

屏風立て紅梅殿と申しつつ
(後藤夜半)

屏風ほし老の望の外になし
(鈴木花蓑)

古き代の胡粉真白き屏風かな
(阿波野青畝)

ふるさとや屏風へだてて舸子と寝る
(木村蕪城)

まつりの日屏風合の判者かな
(炭太祇)

 


【関連季語・子季語】


金屏風  銀屏風  枕屏風

机屏風  腰屏風  衝立

 


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