花にとまった蝶

 蝶

 

【鑑 賞】きこきこと乳母車野を行けば蝶

大正時代から昭和末にかけての俳人・福田蓼汀(ふくだりょうてい)の作品。

「きこきこ」という表現が楽しさを感じさせてくれる句。

 

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以下、季語「蝶」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 蝶

(ひらがな) ちょう

(ローマ字) cho

 


季 節


 


【分 類】


動物

 


【意味・説明】


単に「蝶」とした場合は、春の季語となります。


If it is simply “cho”, it is the season word for spring.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あともどる寒さに蝶の生れけり
(百合山羽公)

あら海や風より下を飛ぶ胡蝶
(正岡子規)

ある人の顔のあたりに蝶とびて
(高野素十)

あをあをと空を残して蝶別れ
(大野林火)

愁あり歩き慰む蝶の晝
(松本たかし)

おはようといつもの白い蝶がきた
(荻原井泉水)

回想のうちそと蝶が舞ひはじめ
(加藤楸邨)

かたばみに同じ色なる蝶々かな
(村上鬼城)

かの蝶かかの蝶か日の盛りなり
(高野素十)

かんざしの蝶ちらつくや藤の花
(正岡子規)

草市の荷を解けばすぐ蝶きたる
(皆川盤水)

けふ咲きし牡丹にふるゝ蝶々かな
(原石鼎)

さきをゆく人との間に蝶絶えず
(篠原梵)

三方に蝶の分かれし立葵
(中村汀女)

しじみ蝶ふたつ先ゆく子の霊か
(能村登四郎)

小学帽目までかぶりて蝶つまむ
(細見綾子)

しろ~と蝶の舞ひ出し杉生かな
(日野草城)

僧房の谷間より蝶吹きあがる
(柿本多映)

その時の蝶々一つ墓にとぶ
(高野素十)

蝶いこふ姥百合の実に翅立てて
(下村ひろし)

蝶追うて春山深く迷ひけり
(杉田久女)

蝶とぶや此世に望みないやうに
(小林一茶)

蝶とべり飛べよとおもふ掌の菫
(三橋鷹女)

蝶を見しこころそのまま夜となる
(阿部みどり女)

天よりもかがやくものは蝶の翅
(山口誓子)

なかんづく美男羅漢や蝶したふ
(能村登四郎)

なつかしや帰省の馬車に山の蝶
(水原秋桜子)

奈落めく万緑の谷蝶ただよふ
(鷲谷七菜子)

ひら~と蝶孵り踏むべかりける
(前田普羅)

ほろ~と蝶こぼれ来る木下闇
(富安風生)

まだ花に心のこすか蝶の夢
(正岡子規)

みちのくと聞けば遠さや蝶を見る
(高橋淡路女)

山吹の蝶を見てゐて得度かな
(飯田蛇笏)

わが家の胡瓜の花も蝶多し
(高野素十)

われ蝶を追ふ蝶われを追ふごとし
(高浜年尾)

 


【関連季語・子季語】


胡蝶  白蝶

 


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