遠 足
【鑑 賞】遠足果てし解散なほも走ることよ
昭和時代の俳人・中村草田男(なかむらくさたお)の作品。
子供たちの動きが目に浮かんでくる句。
以下、季語「遠足」の解説です。
【表 記】
(漢字) 遠足
(ひらがな) えんそく
(ローマ字) ensoku
【季 節】
春
【分 類】
人事
【意味・説明】
春に行われることが多いため、春の季語とされますが、他の季節で用いられることもあります。
Because it is often held in spring, it is considered a season word for spring, but it is also used in other seasons.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
いつ発ちて遠足の子等かへりしや
(山口波津女)
遠足隊わめき五月の森とび出す
(西東三鬼)
遠足に出て流寓の子等帰る
(百合山羽公)
遠足の一団すぎし水を撒く
(星野立子)
遠足のおくれ走りてつながりし
(高浜虚子)
遠足の女教師の手に触れたがる
(山口誓子)
遠足の貝殻も夜寒山どころ
(石井露月)
遠足の子が絵はがきの店塞ぐ
(稲畑汀子)
遠足の子としばらくは歩を合はせ
(菖蒲あや)
遠足の子に囲まれて滝落つる
(右城暮石)
遠足の十人ばかり花の雨
(正岡子規)
遠足の疲れの指を二本咥へ
(中村草田男)
遠足のなぜとなく持つ紅小旗
(中村草田男)
遠足の濡れしょぼたれし列のまた
(久保田万太郎)
遠足の弾む列来て泥田照る
(柴田白葉女)
遠足のひと日夕陽が針の色
(飯田龍太)
遠足の仏足石にかたまれる
(今井千鶴子)
遠足へ未明の声の誘ひ合ふ
(中村草田男)
遠足の列うつくしく壊しけり
(櫂未知子)
遠足の列くねり行く大枯野
(高浜虚子)
遠足の列にホームの幅足りず
(池田秀水)
遠足の列延び峡の橋渡る
(河野南畦)
遠足の列伸ぶところ走りをり
(波多野爽波)
遠足や生徒寝あまる秋の宿
(森鴎外)
遠足や出羽の童に出羽の山
(石田波郷)
遠足やまだ日のたかき藤の垂り
(久保田万太郎)
遠足ややつれし顔が真赤な師
(中村草田男)
遠足をしてゐて遠足したくなる
(平井照敏)
群集の中遠足の詰まり行く
(右城暮石)
転げ来しこけしを遠足の子にかへす
(能村登四郎)
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