花 筏
【鑑 賞】月ありて浮藻のごとし花筏
昭和中期から平成中期にかけての俳人・吉野義子(よしのよしこ)の作品。
月と花筏の組合せに何ともいえぬ美しさが感じられる句。
以下、季語「花筏」の解説です。
【表 記】
(漢字) 花筏
(ひらがな) はないかだ
(ローマ字) hanaikada
【季 節】
春
【分 類】
植物
【意味・説明】
花筏とは、散った桜の花びらが水面に浮いて、それらが連なって流れる様子を表現する言葉です。
また、「ハナイカダ(花筏)」という名前の植物があり、葉の上に花が咲くのが特徴です。
これらはどちらも、現代俳句においては春の季語とされています。
Hanaikada is a word that describes how scattered cherry blossom petals float on the surface of the water and flow in a row.
In addition, there is a plant called “hanaikada(花筏)”, which is characterized by flowers blooming on the leaves.
Both of these are considered spring season words in modern haiku.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
愛よりまづほろびて雨の花筏
(塚本邦雄)
葭あれば葭の辺に寄る花筏
(吉野義子)
雨あしに押されて淵の花筏
(鷹羽狩行)
石組の石を押すなり花筏
(高澤良一)
亀山や尻にして来る花筏
(立花北枝)
栗駒の雪一と握り花筏
(阿部みどり女)
暮れてゆく水のひかりや花筏
(仙田洋子)
潮入りの川で停滞花筏
(鷹羽狩行)
花筏獅子座を遠く砕けけり
(菅原鬨也)
花筏旅が織りなすこころの綾
(柴田白陽)
花筏とぎれて花を水鏡
(岩田由美)
花筏などとはとても云へぬもの
(高澤良一)
花筏日を経し彩を泛かべをり
(高澤良一)
花筏やぶつて鳰の顔のぞく
(飴山實)
花筏行きとどまりて夕日溜む
(宮津昭彦)
花筏ゆるりきたりし誌の齢
(斉藤夏風)
花筏寄りつ離れつ澱みつつ
(中村苑子)
水口や池なりに寄せ花筏
(石川桂郎)
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