春日傘
【鑑 賞】 旅先に用意のおしゃれ春日傘
昭和前期から令和初期にかけての俳人・稲畑汀子(いなはたていこ)の俳句作品。
女性らしい気遣いが感じられる句。
以下、季語「春日傘」の解説です。
【表 記】
(漢字) 春日傘
(ひらがな) はるひがさ
(ローマ字) haruhigasa
【季 節】
春
【分 類】
人事
【意味・説明】
「春日傘」は春の季語ですが、単に「日傘」とした場合は夏の季語になります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
渦潮を見る春日傘渦とまはし
(安住敦)
かくす齢あらはす齢春日傘
(谷口桂子)
風をいとひて鬢に傾げし春日傘
(杉田久女)
祇王忌の墓に寄りたる春日傘
(橋本榮治)
公園に見かけし春の日傘かな
(鈴木花蓑)
子よ癒えよはばたき開く春日傘
(有馬朗人)
すぐそこと言はれて遠し春日傘
(斎藤美智子)
瀬を落ちる舟にたたみて春日傘
(宇佐美魚目)
遠出せしごとくにたたみ春日傘
(鷹羽狩行)
どこまでも和歌の浦沿ひ春日傘
(鷹羽狩行)
墓の夫に言はぬことども春日傘
(関戸靖子)
母となり出づる病院春日傘
(溝上青甕)
春日傘色が躍つてをりにけり
(稲畑廣太郎)
春日傘大きな船の着くを待つ
(細川加賀)
春日傘心にいくさあることも
(金田初子)
春日傘思慕の仏と逢ふ日かな
(櫛原希伊子)
春日傘たたむ足下の潮迅し
(岸本尚毅)
春日傘たたむ小さき眩暈かな
(岡本眸)
春日傘千曲川の石を見てゐたる
(加藤三七子)
春日傘藩公の墓の磴のぼる
(山口青邨)
春日傘二つならびて店のぞく
(滝沢伊代次)
春日傘まあたらしきはさみしかり
(宮坂静生)
春日傘まはすてふこと妻になほ
(加倉井秋を)
引潮の波打ぎはを春日傘
(今井千鶴子)
ひとひとりいれ歩きだす春日傘
(鷹羽狩行)
ふと会話途切れ去りゆく春日傘
(稲畑廣太郎)
ふとゆるむ口もと隠す春日傘
(谷口桂子)
水音のしづかな町の春日傘
(鷲谷七菜子)
持つて出て少し日の欲し春日傘
(細井みち)
宿出でててもとさびしき春日傘
(田中裕明)
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