初 空
【鑑 賞】 初空の藍と茜と満たしあふ
大正後期から昭和末期にかけての俳人・山口青邨(やまぐちせいそん)の俳句作品。
美しい空の色合いが目に浮かんでくる句。
以下、季語「初空」の解説です。
【表 記】
(漢字) 初空
(ひらがな) はつそら、はつぞら
(ローマ字) hatsusora
【季 節】
新年
【分 類】
天文
【意味・説明】
初空とは、元日の朝の空のことをいいます。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
明けゆくを初島と見ればはや初空
(荻原井泉水)
星がただ一つの明星となつて初空
(荻原井泉水)
壁の穴や我初空もうつくしき
(小林一茶)
初空と枝に蓑虫かかるのみ
(永井龍男)
初空にうかみし富士の美まし国
(高浜虚子)
初空にやぶれかぶれの椋鳥のこゑ
(飯田龍太)
初空の色もさめけり人の皃
(小林一茶)
初空の大青空は見れど飽かず
(日野草城)
初空の戦くや鶴の羽撃つほど
(尾崎紅葉)
初空の下なる蕪畠かな
(三橋鷹女)
初空の薔薇色雀恍惚と
(石塚友二)
初空のひかり盈ちつゝ温室のみち
(飯田蛇笏)
初空の行き留りなり上総山
(小林一茶)
初空は顔洗ふ間のながめかな
(井上井月)
初空へこころ一枚干しにけり
(櫂未知子)
初空へなほ伸びゆける樟大樹
(稲畑汀子)
初空や音なき揺らぎ尾長来て
(及川貞)
初空や風花松にとどまらず
(大谷碧雲居)
初空や烏をのするうしの鞍
(服部嵐雪)
初空や心を一に引きもどす
(上村占魚)
初空やこれはこれわが草の庵
(日野草城)
初空やしなびぬれども木守柿
(渡邊水巴)
初空や大悪人虚子の頭上に
(高浜虚子)
初空や机にうつる日枝の影
(望月宋屋)
初空や同色を持し常に新た
(香西照雄)
初空や鳥はよし野のかたへ行く
(加賀千代女)
初空や初日初鷄初鴉
(正岡子規)
初空や日の本明くる櫻色
(正岡子規)
初空や袋も山の笑ひより
(加賀千代女)
初空や三笠三山まぎれなし
(村山故郷)
初空や武蔵に秩父晴れ渡り
(野村喜舟)
初空を映す磧や細り水
(原石鼎)
初空をひろげてゆけり目黒川
(平井照敏)
初空を夜着の袖から見たりけり
(小林一茶)
御民われ初空に日の御旗揚ぐ
(日野草城)
【関連季語・子季語】
初御空
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