ひな祭り
【鑑 賞】まじへ買ふ桃と桜や雛祭
明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の作品。
桃と桜の組合せから、美しい色彩が目に浮かんでくる句。
以下、季語「ひな祭り」の解説です。
【表 記】
(漢字) ひな祭り
(ひらがな) ひなまつり
(ローマ字) hinamatsuri
【季 節】
春
【分 類】
人事
【意味・説明】
3月3日の雛祭は、古くには上巳(じょうし)と呼ばれていました。
この上巳は五節句の一つで、他の節句は以下のものです。
・人日(じんじつ):1月7日
・端午(たんご):5月5日
・七夕(たなばた):7月7日
・重陽(ちょうよう):9月9日
On March 3, hinamatsuri was called joshi in the old days.
Joshi is one of the five festivals, the other festivals are the following.
・jinjitsu:January 7
・tango:May 5
・tanabata:July 7
・choyo:September 9
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
碧空に山するどくて雛祭
(飯田龍太)
浅草に曳き船の音雛祭
(皆川盤水)
移り来て旧の暦に雛祭
(福田蓼汀)
遠雲は縁でかゞやく雛まつり
(平畑静塔)
老いゆくは淋しきものよ雛祭
(高濱年尾)
奥の間に鴨川が見え雛まつり
(村山古郷)
オリオンを直上に指す雛祭
(横光利一)
柿色に柿の木焚きて雛まつり
(平畑静塔)
君に似よ我に似よとて雛まつり
(会津八一)
金米糖京の土産の雛祭
(森澄雄)
実物の餅反り返る雛祭
(右城暮石)
代々の一人娘や雛まつり
(五十嵐播水)
篁のなかに友の家雛まつり
(森澄雄)
竹の奥うすむらさきに雛祭
(大峯あきら)
ちゝはゝのある子の幸や雛祭
(高橋淡路女)
厨房に貝があるくよ雛祭
(秋元不死男)
遠き世の長押の鎗や雛祭
(水原秋桜子)
年たけてをみなやさしも雛祭
(上田五千石)
永き日の夜をながくし雛祭
(森澄雄)
二番目の娘みめよし雛祭
(正岡子規)
母方は善き家柄や雛祭
(正岡子規)
冷えてきし夜は袷や雛まつり
(森澄雄)
雛祭浅蜊は管を足にして
(高澤良一)
雛祭顔を洗ひし眉のみだれ
(中村草田男)
雛祭昨日に月の満てるかな
(松崎鉄之介)
雛祭今宵の月は金のいろ
(村山古郷)
雛まつりしづかなる日の海荒るる
(阿部みどり女)
雛祭り二日の宵ぞたのもしき
(正岡子規)
雛祭り娘が桐も伸にけり
(小林一茶)
雛まつり藪垂れ込めて夜が来ぬ
(村山故郷)
雛まつり山葵の花の夜は匂ふ
(萩原麦草)
雛祭る家一軒も見当たらず
(右城暮石)
雛祭るくさやのひもの干す家も
(阿波野青畝)
雛祭る節供になりて春の雪
(正岡子規)
雛祭るちひさき幸にためらふな
(清水基吉)
桃さくやゐなかは旧の雛祭
(正岡子規)
山の雪すでにまばゆし雛祭
(相馬遷子)
雪信が屏風も見えつ雛祭り
(高井几董)
世に古りてなほ娘なる雛祭
(日野草城)
若き父鯛を釣り来と雛まつり
(山口青邨)
【関連季語・子季語】
雛 ひいな 桃の節句
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