焚火の火

 

【鑑 賞】 父と子よよき榾くべしうれし顔

江戸時代中期の俳人・炭太祇(たんたいぎ)の俳句作品。

冬の寒さの中での親子の通じ合う心が感じられる句。

 

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以下、季語「榾」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 榾

(ひらがな) ほた

(ローマ字) hota

 


季 節


 


【分 類】


人事

 


【意味・説明】


榾(ほた)とは、炉や竈(かまど)などで焚く、木の切端・枝・枯木など(いわゆる「たきぎ」)。のことです。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あつものにかざしおとろふ榾火かな
(飯田蛇笏)

あの頃の榾はりんごの枝なりし
(高木晴子)

いちはやくもへて甲斐なし穂だ榾の蔦
(加舎白雄)

おとろへや榾折かねる膝頭
(小林一茶)

がたと榾崩れて夕べなりしかな
(稲畑汀子)

けふも西へ逃げゆく日影榾を割る
(百合山羽公)

こよひ秩父夜祭の榾くべにくべ
(成瀬桜桃子)

惜別の榾をくべ足しくべ足して
(高野素十)

そのなかに芽の吹く榾のまじりけり
(室生犀星)

年の火の榾の芯から爆ぜにけり
(高澤良一)

土間に榾燃えて框に客一人
(京極杞陽)

はづかしや榾にふすぼる煙草頬
(上島鬼貫)

火の飛べば木の名云ふなり榾の主
(金尾梅の門)

文読んで烈火の怒り榾を焚く
(飯田蛇笏)

榾くべて足を投げ出す囲爐裏哉
(寺田寅彦)

榾たくや峠の茶屋にいわし売
(泉鏡花)

榾のおき絶え終るまで追儺の夜
(百合山羽公)

榾の火にあぶりて熱き一壺かな
(村上鬼城)

榾の火に親子足さす侘寝かな
(向井去来)

榾の火に背中あぶりや父と母
(西山泊雲)

榾の火にとろりと酔ひし眼かな
(日野草城)

榾の火の大旆のごとはためきぬ
(高浜虚子)

榾の火やあかつき方の五六尺
(内藤丈草)

榾の火や糸取窓の影ぼうし
(小林一茶)

榾の火や白髪のつやをほめらるゝ
(小林一茶)

榾燃えて又鉄瓶の湯のたぎる
(星野立子)

味噌焚きの榾のくづるる昼深し
(木村蕪城)

昔は海であつたと榾をくべる
(尾崎放哉)

夜の戸に風媚ぶや我に榾怒る
(飯田蛇笏)

老骨を焚かんばかりに榾の前
(吉武月二郎)

をかしげにもへて夜深し榾の節
(加舎白雄)

 

 


【関連季語・子季語】


ほだ  根榾  榾火  榾明り

 


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