夜の闇に光る蛍

 

【鑑 賞】侘しさの蚊帳に放つ螢哉

明治後期から昭和初期にかけての物理学者・作家・俳人である寺田寅彦(てらだとらひこ)
の作品。

蚊帳の中の蛍という風物に、何ともいえぬ風情が感じられる句。

 

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以下、季語「蛍」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 蛍

(ひらがな) ほたる

(ローマ字) hotaru

 


季 節


 


【分 類】


動物

 


【意味・説明】


「蛍」は、関連した季語を数多く持ちます。


“Hotaru” is a season word with many related season words.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あぢきなや広げぬ文にとぶ蛍
(上島鬼貫)

あるじなき几帳にとまる蛍かな
(高井几董)

一心にともして飛べる螢かな
(高橋淡路女)

うかれ女の螢這はすや笛の穴
(松瀬青々)

うすものの螢を透す螢かな
(泉鏡花)

大いなる螢の闇に細き道
(星野立子)

己が火を木々に蛍や花の宿
(松尾芭蕉)

かたまるや散るや蛍の川の上
(夏目漱石)

この螢田毎の月にくらべみん
(松尾芭蕉)

しののめやとめし蛍を置き忘れ
(加賀千代女)

すべり落つる薄の中の蛍かな
(河東碧梧桐)

提灯を螢が襲ふ谷を来り
(原石鼎)

つと逃げし螢の闇のみだれかな
(中村汀女)

つゆすべる螢いくたび見し家路
(松村蒼石)

手うつしに螢もらひぬ垣根越し
(高橋淡路女)

手につたふ露の雫や螢籠
(高橋淡路女)

手のうへにかなしく消ゆる螢かな
(向井去来)

手の内に蛍つめたき光かな
(正岡子規)

手の皺が歩み悪(にく)いか初螢
(小林一茶)

手の螢橋の上より放ちけり
(阿部みどり女)

どこ迄も奥あるやうに螢とぶ
(松瀬青々)

戸じまりも等閑にとぶ螢かな
(金尾梅の門)

とぶ蛍あれと言はんも一人哉
(炭太祇)

とりためて人にくれたる螢かな
(会津八一)

のぼりつめ葉にわかれとぶ螢かな
(西山泊雲)

はかなきは女人剃髪螢の夜
(飯田蛇笏)

放ちやる其時螢ひかりけり
(幸田露伴)

一つ籠になきがら照らす螢かな
(渡辺水巴)

ひとりゐて螢こいこいすなつぱら
(太宰治)

ふれし手に葉をこぼれたる螢かな
(上村占魚)

もらひ湯の螢つめたき山の風
(中勘助)

夕されば螢の花のかさい哉
(小林一茶)

ゆく螢宿場のやみを恋塚へ
(泉鏡花)

指移しして貰ひたる蛍かな
(行方克巳)

よるの雨尻へぬけたる蛍哉
(井原西鶴)

 


【関連季語・子季語】


初蛍  飛ぶ蛍  昼蛍  夕蛍

蛍火 蛍狩 蛍籠

 


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