苺の実

 

【鑑 賞】熟れそめし葉蔭の苺玉のごと

明治中期から昭和前期にかけての俳人・杉田久女(すぎたひさじょ)の作品。

まだ熟れきっていない苺の様子が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「苺」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 苺

(ひらがな) いちご

(ローマ字) ichigo

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


苺の多くは菜園でさいばいしますが、野生のものもあります。


Many strawberries are grown in vegetable gardens, but some are found in the wild.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

朝日濃し苺は籠に摘みみちて
(杉田久女)

あらぬ名にくちなは苺甘んぜり
(相生垣瓜人)

あるきながらいちごくひけりいちご畑
(正岡子規)

苺赤し一粒ほどの平安か
(森澄雄)

苺買ひに行くや葬儀の委員として
(右城暮石)

苺ジャムつぶす過程にありつぶす
(竹下しづの女)

苺つぶしつつも生きねばならぬなり
(岸風三楼)

苺つぶす舌を平に日本海
(古館曹人)

いちごとる手もとを群山走りけり
(正岡子規)

いちご取る山路に著莪を手折けり
(正岡子規)

苺にミルクたつぷりかけて夜が余る
(菖蒲あや)

いちご盛つて紅の雫流れけり
(正岡子規)

いへづとの苺をさげて日霞む
(大野林火)

色おそき梅雨入の苺籠に足らず
(及川貞)

怠たりそ疲れそ苺なども食べ
(中村草田男)

帯へ附く苺の肉みて戦後派なり
(田川飛旅子)

垣ざかひまで来し朝日苺つむ
(星野立子)

かけ橋や蔦のあはひの蔓いちご
(正岡子規)

牛乳を潰し苺を潰しけり
(相生垣瓜人)

今日迷ふ紅き苺の珠を累ね
(永田耕衣)

くちなはやくちなは苺顧みず
(相生垣瓜人)

曇り日や野苺あかく毒もてる
(岸風三楼)

子に頒つ苺のひとつ妻の唇に
(石川桂郎)

死火山の膚つめたくて草苺
(飯田蛇笏)

敷藁の上の苺の赤かりし
(高野素十)

死の雨か摘まれし苺やはらかく
(阿波野青畝)

充実の一日に遠し苺つぶす
(相馬遷子)

すこし昂る苺の紅に春の風邪
(山口青邨)

石器の出る畑に苺の色づけり
(瀧井孝作)

ソファーに白き夜が来て苺皿
(阿部みどり女)

大地這ふ西日に赤し畑苺
(原石鼎)

太陽に苺漆の紅塗られ
(山口誓子)

旅路なれば残るいちごを参らせん
(正岡子規)

たまの外出苺を提げて灯ともし頃
(細見綾子)

珠のごとき苺頒つや母と子の
(鈴木真砂女)

乳に流れてあまたの筋や苺の血
(高浜年尾)

中年の顔つぶれたる苺かな
(平井照敏)

摘みとりて蟻はふ籠の苺かな
(西島麦南)

デザートに年々大き苺かな
(高澤良一)

出羽の国朝のつめたき苺喰ふ
(細見綾子)

時かけて苺をつぶす腰痛持
(高澤良一)

とり出す苺の紅の箱に滲む
(大野林火)

ならはせのいちごくひけり肉の後
(正岡子規)

汝先づ覆盆子を食ひてすゝめけり
(高浜虚子)

羽黒なるはんこたんなの苺売り
(石原八束)

早起の帯なし農婦苺つむ
(平畑静塔)

玻璃盤に露のしたゝる苺かな
(夏目漱石)

病人のくひたきといふいちご哉
(正岡子規)

ベトナムに爆撃があり苺喰ふ
(瀧井孝作)

ほろほろと手をこほれたるいちご哉
(正岡子規)

 


【関連季語・子季語】


覆盆子  蛇苺

 


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