色なき風
【鑑 賞】色なき風に貧民の買ふ赤き花
明治末期から昭和後期にかけての俳人・長谷川かな女(はせがわかなじょ)の作品。
名を挙げないことで、読み手の想像が広がってゆく句。
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以下、季語「色なき風」の解説です。
【表 記】
(漢字) 色なき風
(ひらがな) いろなきかぜ
(ローマ字) ironakikaze
【季 節】
秋
【分 類】
天文
【意味・説明】
色なき風とは、秋に吹く風のことで、華やかな色がついていないという意味合いが含まれています。
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【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
泉辺は色なき風の湧きどころ
(上田五千石)
一管を出でて色なき風となる
(小野恵美子)
色なき風強歩の唾を酸くしたり
(長谷川かな女)
色なき風背に釈尊の出山圖
(高澤良一)
色なき風箸に崩るる骨拾ふ
(鈴木芳子)
色なき風命名まへのみどりごに
(辻美奈子)
憂きことに離れ色なき風の中
(鈴木真砂女)
うつせ貝色無き風の籠りけり
(青木重行)
裏口へ色なき風を通しけり
(桂信子)
上絵師の看板色なき風に長し
(長谷川かな女)
厨窓開ければ色なき風に会ふ
(阿部喜恵子)
籠らばや色なき風の音聞きて
(相生垣瓜人)
五柳先生色無き風に吹かるる圖
(高澤良一)
百日紅色なき風となりゆくや
(林原耒井)
受胎告知色なき風に顔そむく
(小池文子)
年行司色なき風を巻き過ぎて
(高澤良一)
万華鏡のぞく色なき風の中
(橋本榮治)
喪服着て色なき風にふれてをり
(大森理恵)
ユーカリの木肌ざらしに色なき風
(松崎鉄之介)
龍舞の龍が色なき風に乗り
(高澤良一)
【関連季語・子季語】
風の色 素風
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