鏡 餅
【鑑 賞】 伊セ海老の橙かじる鏡餅
大正初期から昭和中期にかけての小説家・俳人である河野静雲(こうのせいうん)の俳句作品。
伊勢海老が橙をかじっているという見立てに面白さが感じられる句。
以下、季語「鏡餅」の解説です。
【表 記】
(漢字) 鏡餅
(ひらがな) かがみもち
(ローマ字) kagamimochi
【季 節】
新年
【分 類】
人事
【意味・説明】
鏡餅は、餅を神仏に供える伝統的な正月飾りで、三方に大小の丸餅を重ね、橙、伊勢海老、昆布、串柿、裏白などで飾り付けします。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
一の字に白き串柿鏡餅
(山口誓子)
一枚は大鏡餅餅莚
(鈴木花蓑)
大きくて扁平神の鏡餅
(山口誓子)
お茶の間やラヂオの上の鏡餅
(星野立子)
思ひ出づる赤人にまで鏡餅
(池西言水)
鏡餅生き残りめく家長の座
(能村登四郎)
鏡餅暗闇を牛通りけり
(桂信子)
鏡餅ここには居らぬ声ありて
(加藤秋邨)
鏡餅ことし奮発したりけり
(高澤良一)
鏡餅しばらく紺の潮目あり
(友岡子郷)
鏡餅供ふ漁船の命綱
(右城暮石)
鏡餅弁天池の石となれ
(阿波野青畝)
鏡餅本気にするもせぬもよし
(飯島晴子)
鏡餅湯気さめて黴喚びにけり
(松村蒼石)
鏡餅わけても西の遥かかな
(飯田龍太)
黴生て曇るといふらん鏡餅
(正岡子規)
紅白が日月雛の鏡餅
(山口誓子)
舵を守る人のうしろに鏡餅
(五十嵐播水)
悔ばかり本の谷間に鏡餅
(田川飛旅子)
小舟して島の祠へ鏡餅
(野村泊月)
今昔のわれにも移り鏡餅
(森澄雄)
七曜の序は易りなし鏡餅
(阿波野青畝)
宿泊簿記す傍ら鏡餅
(高澤良一)
生家すなはち終の栖家や鏡餅
(下村ひろし)
たちまちに闇来てつつむ鏡餅
(飯田龍太)
たま~に来る患者や鏡餅
(五十嵐播水)
文机や柚子を代りの鏡餅
(石川桂郎)
傍観す女手に鏡餅割るを
(西東三鬼)
丸きもの初日輪飾り鏡餅
(正岡子規)
丸まりてまだやはらかに鏡餅
(長谷川櫂)
【関連季語・子季語】
餅鏡 御鏡 御供餅
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