可愛らしい案山子

案山子

 

【鑑 賞】 たそがれて顔の真白き案山子かな

大正末から昭和後期にかけての俳人・三橋鷹女(みつはしたかじょ)の俳句作品。

秋の夕暮れの寂しさが強く感じられる句。

 

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以下、季語「案山子」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 案山子

(ひらがな) かがし

(ローマ字) kagashi

 


季 節


 


【分 類】


人事

 


【意味・説明】


案山子(かがし≒かかし)は、田畑の中に古着や古帽子などを用いて人の形を作って、鳥などをおどかすために立てるものです。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

愛を誓ひ案山子のまへに来て別る
(原裕)

一番に案山子をこかす野分かな
(森川許六)

大水を踏みこえたる案山子かな
(正岡子規)

幼馴染よ大根畑の案山子さへ
(皆川白陀)

おやおやと案山子の顔に近づけり
(茨木和生)

案山子に似て我影悲し乳貰ひ
(寺田寅彦)

案山子の親子潟の広さに救はるる
(河野南畦)

案山子見る男チェックのシャツを着て
(高澤良一)

兼平の塚を案山子の矢先かな
(正岡子規)

借りて寝ん案山子の袖や夜半の霜
(松尾芭蕉)

御所柿に頼まれ顔の案山子哉
(与謝蕪村)

古拙とも言はば言ふべき案山子立つ
(相生垣瓜人)

先頃の案山子の装のモダンなる
(高澤良一)

十年の狂態今に案山子哉
(正岡子規)

竹竿を横に案山子のもろ手哉
(森鴎外)

どちらから見てもうしろの案山子哉
(正岡子規)

ぬき衣紋してたふれたる案山子かな
(阿波野青畝)

盗んだる案山子の笠に雨急なり
(高浜虚子)

放れ馬案山子のことにあらざりけり
(野村喜舟)

引き抜かれ棒とし案山子たばねらる
(岸風三楼)

ひっくゝりつっ立てば早案山子かな
(高田蝶衣)

ひつぢ田の案山子もあちらこちらむき
(与謝蕪村)

人立つて鳥追舟の案山子かな
(正岡子規)

吹倒す起す吹るゝ案山子かな
(炭太祇)

ボロ~の案山子となりて立ち尽す
(菖蒲あや)

みちのくのつたなきさがの案山子かな
(山口青邨)

耳遠く目のかすみたる案山子かな
(飯田蛇笏)

めりやすの襯衣を著てゐる案山子哉
(内田百間)

モジリアニの女の顔の案山子かな
(阿波野青畝)

やがてまた下雲通る案山子かな
(飯田蛇笏)

山に向いて案山子の笠の高きかな
(原月舟)

夕日惨休戦めきて案山子満つ
(中村草田男)

夕月のたへにも繊き案山子かな
(水原秋桜子)

ゆく秋や案山子の袖の草虱
(飯田蛇笏)

両手伸べてみな~今朝の案山子かな
(渡辺水巴)

我足にかうべぬかるゝ案山子哉
(与謝蕪村)

 


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