蟷 螂
【鑑 賞】 腹立つとみえて蟷螂斧振り上ぐ
昭和前期生まれの俳人・高澤良一(たかざわよしかず)の俳句作品。
怒っているような蟷螂の姿が目に浮かんでくる句。
以下、季語「蟷螂」の解説です。
【表 記】
(漢字) 蟷螂
(ひらがな) かまきり、とうろう
(ローマ字) kamakiri
【季 節】
秋
【分 類】
動物
【意味・説明】
蟷螂は、「斧虫(おのむし)」や「拝み虫(おがみむし)」などと呼ばれることもあります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
朝顔をつかみ蟷螂雨うかがふ
(臼田亞浪)
井戸掘りのつまみ捨てたる蟷螂かな
(金尾梅の門)
入日吹く裾に蟷螂すがりけり
(金尾梅の門)
生れ出しばかりの蟷螂烟の如と
(河野静雲)
怒るほかなき蟷螂の青全身
(加倉井秋を)
さらばうて蟷螂めくよ冬日影
(永井龍男)
壁に巨大な蟷螂の影基地ひろがる
(加藤楸邨)
蟷螂が飛びこんで数分ほどたちぬ
(加倉井秋を)
蟷螂がゐると思はぬところにゐる
(加倉井秋を)
かまきりの虚空をにらむ残暑かな
(立花北枝)
蟷螂のしだいに眠く殞ちゆけり
(山口誓子)
かまきりの修羅の姿の飛び去りし
(成瀬正俊)
かまきりの巣と云ふを見る着膨れて
(高澤良一)
かまきりの畳みきれざる翅吹かる
(加藤楸邨)
蟷螂のどこまでのぼる梧桐かな
(原石鼎)
かまきりのはや枯色を避けがたし
(山口誓子)
かまきりの腹てのひらに都遠し
(成田千空)
かまきりの玻璃戸をのぼり雷うかがふ
(臼田亞浪)
かまきりの貧しき天衣ひろげたり
(佐藤鬼房)
蟷螂のみどりの活路横目して
(古舘曹人)
蟷螂の乱を好むにしもあらず
(寺田寅彦)
かまきりばたりと落ちて斧を忘れず
(尾崎放哉)
かまきりは班女が閨に上りけり
(松瀬青々)
かまきりも青鬼灯も生れけり
(百合山羽公)
蟷螂や露ひきこぼす萩の杖
(立花北枝)
かまきりや腹這へる子も顔をあげ
(百合山羽公)
かりかりと蟷螂蜂の皃を食む
(山口誓子)
蝉塚に山の蟷螂来てをりぬ
(小林清之介)
中古の斧を振りあげ蟷螂は
(高澤良一)
灯を取りに来し蟷螂の長き躬よ
(池田秀水)
紛れ込む蟷螂を外(と)に出し遣りぬ
(高澤良一)
ゆさゆさと風に身を漕ぐ蟷螂かな
(野村喜舟)
【関連季語・子季語】
斧虫 いぼむしり をがみむし
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