枯野と青空

枯 野

 

【鑑 賞】旅に病んで夢は枯野をかけ廻る

江戸時代前期の俳人・松尾芭蕉(まつおばしょう)の作品。

芭蕉が生涯で最後に詠んだ句で、病床でも推敲を重ねたといわれています。。

 

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以下、季語「枯野」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 枯野

(ひらがな) かれの

(ローマ字) kareno

 


季 節


 


【分 類】


地理

 


【意味・説明】


「枯野」だけでなく、「枯原」「枯野人」「枯野道」「枯野宿」などとしても用いられる季語です。


It is a season word that is used not only for “Kareno” but also for “Karehara”, “Karenobito”, “Karenomiti”, and “Karenoyado”.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あくびして喉の奥まで大枯野
(今井杏太郎)

家路なる眞夜の枯野は行くべかり
(山口誓子)

如何なる日白衣傷兵枯野を来る
(相馬遷子)

いくすぢの小川枯野にかくれけり
(松村蒼石)

一枚の葉書運ばれ枯野の家
(桂信子)

いつまでも遥かなるまま枯野人
(加倉井秋を)

今出でし爐火想ひゆく枯野哉
(西山泊雲)

大いなる茶屋を囲める大枯野
(阿部みどり女)

おん顔や枯野の星と生くかぎり
(石塚友二)

垣ぬけて鶏の遊べる枯野かな
(金尾梅の門)

から風の高吹くに枯野薊かな
(内田百間)

枯野来て四人たまりし渡舟かな
(野村喜舟)

枯野して松二もとやむかし道
(黒柳召波)

枯野にて糟糠のとき惜しみなし
(古舘曹人)

枯野にて抱くぬくみのまぐれ犬
(林翔)

枯野に日戸をあけて鳴く鳩時計
(秋元不死男)

枯野の水に魚のぼりゐたりけり
(臼田亞浪)

枯野の道海が見えざるもどかしや
(右城暮石)

枯野道誰かに拍手されゐたり
(平井照敏)

枯野道ゆく外はなく行きにけり
(富安風生)

枯野見やついでにのぞく百花園
(野村喜舟)

枯野宿陸奥紙は漉けるかな
(野村喜舟)

枯野ゆく帯を重しと思ひけり
(鈴木真砂女)

枯野行くまつはる星を眼にて逐ひ
(相馬遷子)

枯野行く山浮き沈む路の涯
(芝不器男)

枯野行けば道連は影法師かな
(寺田寅彦)

枯野より戻りビー玉で遊ぶ
(細見綾子)

川ありて遂に渡れぬ枯野かな
(夏目漱石)

こゝにある枯野の松を惜みけり
(鈴木花蓑)

この杖の末枯野行き枯野行く
(高浜虚子)

子を捨る藪さへなくて枯野哉
(与謝蕪村)

サーカスの天幕ふくらむ枯野の午後
(内藤吐天)

上京の湯どのに続く枯野かな
(黒柳召波)

城内に兎狩する枯野かな
(野村泊月)

抱いて呉るゝほどのあたゝか枯野行く
(及川貞)

松明投げて獣追ひやる枯野かな
(泉鏡花)

妻と二人枯野の月にかくれなし
(石田波郷)

土堤を外れ枯野の犬となりゆけり
(山口誓子)

どん底を木曾川のゆく枯野かな
(松本たかし)

七つ子にあふてさびしき枯野哉
(加舎白雄)

何やらに鴉群がる枯野哉
(寺田寅彦)

寝て夢路起きて枯野路行くもひとり
(福田蓼汀)

信長の榎残りて枯野かな
(正岡子規)

バス通る時刻枯野の中にあり
(百合山羽公)

晴れゆくにつれて風たつ枯野かな
(上村占魚)

日が射して枯野に匂う鰐二、三
(坪内稔典)

ひきだしに聖書ひそめり枯野宿
(久保田万太郎)

日に現はれ風に無くなり枯野虫
(鈴木花蓑)

吹風の一筋見ゆる枯野かな
(幸田露伴)

二つあり相隔つ石の枯野かな
(原月舟)

 


【関連季語・子季語】


枯原  枯野人  枯野道  枯野宿

 


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