霧
【鑑 賞】 折々は霧にもあまる紅葉かな
江戸時代中期の俳人・加賀千代女(かがのちよじょ)の俳句作品。
いかにも秋といった雰囲気に包まれた句。
以下、季語「霧」の解説です。
【表 記】
(漢字) 霧
(ひらがな) きり
(ローマ字) kiri
【季 節】
秋
【分 類】
天文
【意味・説明】
春に霧が起こった場合は「霞(かすみ)」と呼び、春の季語となります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
あけそめて高原の霧今やなし
(高浜年尾)
明けならず霧の上を月照りわたり
(及川貞)
朝井汲む妻も木槿も霧の中
(西島麦南)
朝寝する障子の間や霧の山
(立花北枝)
あら小田に霧たつ夜あり初蛙
(高井几董)
有明や浅間の霧が膳をはふ
(小林一茶)
在るものの霧に消えゆく烏頭
(古舘曹人)
あれなる霧の中に白きは何にて候ぞ
(正岡子規)
お花畑霧が消しては日が描く
(福田蓼汀)
折りくれし霧の蕨のつめたさよ
(高野素十)
かたき地が霧で滑るよ一茶の地
(中村草田男)
くちびるに夜霧を吸へりあまかりき
(三橋鷹女)
さやうならさやうなら霧に隔てられ
(野村泊月)
さるをがせ女は霧に飛ぶごとし
(古舘曹人)
ししうどの花を霧今閉ざすところ
(高澤良一)
すさぶ霧天に白銀の日を駐む
(相馬遷子)
つばくろの飛び迷ひをり霧の中
(高浜虚子)
壺の国信濃を霧のあふれ出づ
(平畑静塔)
とにかくと銃かたげ行く霧の中
(尾崎紅葉)
とりかぶと霧の奔流湖に消ゆ
(堀口星眠)
なべて霧天上の月孤なりけり
(福田蓼汀)
二の酉や夜浅き霧にむせながら
(臼田亜浪)
のんのんと馬が魔羅振る霧の中
(加藤楸邨)
ひしひしと巌そびゆ霧の退くかぎり
(相馬遷子)
一つ家の一本杉や霧の中
(寺田寅彦)
ほぐれゆく霧のむらたつ竹煮草
(阿部みどり女)
まつしぐら花野は霧にもどりけり
(中村汀女)
山寺や破風口からも霧の立
(小林一茶)
わせるなら霧もない間に誰もがな
(上島鬼貫)
吾亦紅折らましものを霧こばむ
(阿波野青畝)
【関連季語・子季語】
朝霧 夕霧 夜霧
野霧 山霧
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