狐
【鑑 賞】 月の夜は狐の檻の暗かりし
大正後期から昭和末期にかけての俳人・山口青邨(やまぐちせいそん)の俳句作品。
寂しげな冬の夜の情景が目に浮かんでくる句。
以下、季語「狐」の解説です。
【表 記】
(漢字) 狐
(ひらがな) きつね
(ローマ字) kitsune
【季 節】
冬
【分 類】
動物
【意味・説明】
日本では古来、狐は人を化かしたりする悪戯(いたずら)好きな動物と考えられてきました。
「狐の子」とすると、春の季語となります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
いとどしき猟夫の狐臭炉のほとり
(山口誓子)
うごきやまぬ狐は冬日照返し
(渡辺水巴)
打よりて狐括りつ鳴子縄
(尾崎紅葉)
おのが影踏み遊びをり檻狐
(山田弘子)
狐啼け曼珠沙華光おとろへぬ
(北原白秋)
狐らの夜となる夕焼野にくらし
(堀口星眠)
狐を見てゐていつか狐に見られをり
(加藤楸邨)
公達に狐化たり宵の春
(与謝蕪村)
口に乗る春歌や旱の狐立つ
(斎藤玄)
子狐のかくれ貌なる野菊哉
(与謝蕪村)
子守唄そこに狐がうづくまり
(橋本多佳子)
新月に野狐のつく舎をさす
(飯田蛇笏)
すっくと狐すっくと狐日に並ぶ
(中村草田男)
代官に妖て瓜喰ふ狐かな
(高井几董)
地を掘り掘る狐隠せしもの失ひ
(橋本多佳子)
どこにひそむ金の狐や蕨狩
(平畑静塔)
人形の手に正札や銀狐
(星野立子)
はつうまに狐のそりし頭かな
(松尾芭蕉)
初午に無官の狐鳴にけり
(小林一茶)
初午や狐つくねしあまり土
(炭太祇)
初午や狐のわたる雪の積
(滝井孝作)
初枕狐の闇に眼を凝らし
(堀口星眠)
初弥撒へ狐の跡を照らしゆく
(堀口星眠)
人の妻を盗む狐や春の月
(松瀬青々)
日や雨や狐嫁入る村紅葉
(幸田露伴)
二人よつて狐がばかす話をしてる
(尾崎放哉)
冬されや狐も喰はぬ小豆飯
(正岡子規)
またしては狐見舞いくだり簗
(黒柳召波)
まんじゆさけ蘭に類ひて狐啼
(与謝蕪村)
夜長咄狐が人を騙す型
(高澤良一)
【関連季語・子季語】
狐の子
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