穀 雨
【鑑 賞】琴屋来て琴鳴らし見る穀雨かな
明治末期から昭和後期にかけての俳人・長谷川かな女(はせがわかなじょ)の作品。
静かに降る雨の中で聞く琴の音の優雅さが伝わってくる句。
以下、季語「穀雨」の解説です。
【表 記】
(漢字) 穀雨
(ひらがな) こくう
(ローマ字) koku
【季 節】
春
【分 類】
時候
【意味・説明】
穀雨とは、一年を24等分したものに季節の名前を付けた二十四節気の一つです。
穀雨の日付は毎年 4月20日頃となります。
4/20 ~ 5/5頃の期間を「穀雨」ということもあります。
Koku is one of the twenty-four solar terms, which divides the year into 24 equal parts and names the seasons.
The date of koku is around April 20th every year.
The period from 4/20 to 5/ 5 is sometimes called koku.
【例 句】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
石臼のはればれ打たる穀雨かな
(瀧澤伊代次)
伊勢の海の魚介ゆたかにして穀雨
(長谷川かな女)
傘立てて穀雨の雫地に膨れ
(峰尾北兎)
風眠り穀雨の音か夕早し
(小倉緑村)
鎌倉や穀雨を待たぬ窓の闇
(石川桂郎)
穀雨かな記紀にしるせし野を歩く
(伊藤敬子)
穀雨なる決断の指開きつつ
(松田ひろむ)
苗床にうす日さしつゝ穀雨かな
(西山泊雲)
庭隅の菜園豊かに穀雨かな
(大橋一橋)
睡るとは不覚穀雨の散髪屋
(高澤良一)
掘返す塊光る穀雨かな
(西山泊雲)
本当の雨脚となる穀雨かな
(平井さち子)
まつすぐに草立ち上がる穀雨かな
(岬雪夫)
夜を境に風邪熱落したり穀雨
(長谷川かな女)
落款の少しかすれて穀雨かな
(都筑智子)
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