夏の海
【鑑 賞】 西方は浄土か輝く夏の海
昭和前期から平成中期にかけての俳人・桂信子(かつらのぶこ)の俳句作品。
眩しく輝いている海が目に浮かんでくる句。
以下、季語「夏の海」の解説です。
【表 記】
(漢字) 夏の海
(ひらがな) なつのうみ
(ローマ字) natsunomi
【季 節】
夏
【分 類】
地理
【意味・説明】
「海」を四季それぞれで季語として用いるには、「春の海」「夏の海」「秋の海」「冬の海」とします。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
合言葉 ささやき夏の海に寄る
(仙田洋子)
天草の島山高し夏の海
(高浜虚子)
壱岐の島途切れて見ゆる夏の海
(高浜虚子)
壱岐低く対馬は高し夏の海
(高浜虚子)
石伐りのたがね谺す夏の海
(前田普羅)
岩鼻に佛刻まん夏の海
(会津八一)
魚賢くてべうべうと夏の海
(飯田龍太)
魚附林の朝澄みうつる夏の海
(高田蝶衣)
屋上に宿名かゝげて夏の海
(鈴鹿野風呂)
顔こすり睡がる子よ夏の海暮るる
(山口誓子)
神やこの島好みけん夏の海
(西山宗因)
絹を牛を産す嶋々や夏の海
(尾崎迷堂)
寂しきは夏の海なり足二本
(永田耕衣)
島々や千々に砕けて夏の海
(松尾芭蕉)
卒塔婆のみなぱたぱたと夏の海
(小澤克己)
島々や千々に砕けて夏の海
(松尾芭蕉)
高根より礫うち見ん夏の海
(池西言水)
只殺されまじく精夏の海を喫す
(永田耕衣)
艇の玻璃夏の海光はじき航く
(五十嵐播水)
遠くより風来て夏の海となる
(飯田龍太)
長濤を以て音なし夏の海
(三橋敏雄)
夏の海青けれど岬は潮曇り
(村山故郷)
夏の海島かと現れて艦遠く
(杉田久女)
夏の海遠きは紺の平らけく
(上村占魚)
夏の海見たき浪間に眼を移す
(山口誓子)
晩年やまだ海のまま夏の海
(永田耕衣)
風雲のかがやき折れて夏の海
(山口青邨)
船に打つ五尺の釘や夏の海
(渡辺水巴)
船の鼠啼いて夏海霧深かりぬ
(臼田亜浪)
別荘や膳を向けたる夏の海
(正岡子規)
【関連季語・子季語】
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