プール
【鑑 賞】 どつと嗤ふ声をプールの天に聞けり
大正時代半ばから平成初期にかけての俳人・山口誓子(やまぐちせいし)の俳句作品。
賑わっているプールの光景が目に浮かんでくる句。
以下、季語「プール」の解説です。
【表 記】
(漢字) プール
(ひらがな) ぷうる
(ローマ字) puru
【季 節】
夏
【分 類】
人事
【意味・説明】
日本語では単に「プール」と呼んでいますが、英語では水泳用のプールは「swimming pool」とします。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
青すすき市民プールの忍返
(平畑静塔)
雨の中に雨降りずぶ濡れのプール
(辻田克巳)
あをによしプールの底の首飾り
(櫂未知子)
いろいろな泳ぎ方してプールにひとり
(波多野爽波)
往診や吾子ゐるはずのプール見て
(堀口星眠)
拡声器プールに低き私語をする
(山口誓子)
風駆けりプール激湍とぞなれる
(山口誓子)
風の樹々プールの子らに騒ぎ添ふ
(石田波郷)
狐の嫁入りふたりのプールに水をさす
(平畑静塔)
競泳のときもプールを風駆けり
(山口誓子)
けふの旗を下す彩雲プールの上
(山口誓子)
子の鼻血プールに交じり水となる
(赤尾兜子)
錆びるまで灼けてプールに鬼の番
(平畑静塔)
四肢駆けてプールの辺のとどろける
(山口誓子)
ししむら固し五月プールの中学生
(草間時彦)
しろばえとプール一日北に駛す
(山口誓子)
村営のプール青嶺の水満たす
(右城暮石)
父の寂しさ水なきプールの鉄梯も
(友岡子郷)
常夏のプール裸兵に泡立ちぬ
(伊丹三樹彦)
ピストルがプールの硬き面にひびき
(山口誓子)
プールあり木の実落つるにまかせたり
(永井龍男)
プール園文字通り飛び入りの蝶
(平畑静塔)
プール涸れ屋上の如し北風吹き
(秋元不死男)
プール鹹からず貝殻も雲丹もなし
(平畑静塔)
プール閉づ張りたる水の青きまま
(池田秀水)
プールにきて最年長の裸写す
(秋元不死男)
プールにて水の大なる恩を享く
(山口誓子)
プールに水充たすもつとも深きより
(岡本眸)
プールの中に尖塔影を衝き入るる
(山口誓子)
プールの母浅いところで屈折する
(八木三日女)
プールの燈取れず大蛾の浮きゐたり
(山口誓子)
プールの昼餉腹と胸とで呼吸しつつ
(中村草田男)
プール開きまへの水深青揚羽
(百合山羽公)
プール陽を浴びてはたはた飛べるのみ
(右城暮石)
プール深し掃除の子等のどの背より
(岡本眸)
プール夜は煌煌休暇畢るなり
(山口誓子)
プールよりあがり芝生の端濡らす
(池田秀水)
プールより出て耳朶大き少年なり
(能村登四郎)
満水のプールの縦の縦がよし
(山口誓子)
水はりしプールの木影揺れやまず
(清崎敏郎)
夜の辻のにほひてどこかプールあり
(能村登四郎)
ライターをつけてプールにまだ濡れず
(平畑静塔)
若き厨夫一眼プールを羨しめり
(山口誓子)
われもプールに明治生れの裸写す
(秋元不死男)
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