百日紅
【鑑 賞】 てらてらと百日紅の旱かな
明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の俳句作品。
夏らしい雰囲気に満ちた句。
以下、季語「百日紅」の解説です。
【表 記】
(漢字) 百日紅
(ひらがな) さるすべり、ひゃくじつこう
(ローマ字) sarusuberi
【季 節】
夏
【分 類】
植物
【意味・説明】
百日紅は、ソハギ科サルスベリ属の落葉小高木です。
花が咲く期間の長さから「ヒャクジツコウ」という別名もあります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
朝顔のちりぢり失せぬ百日紅
(齋藤玄)
紫陽花の花青がちや百日紅
(尾崎放哉)
一徹に生き蓑笠や百日紅
(古舘曹人)
うちつけに青竹退り百日紅
(齋藤玄)
裏通り樞の音や百日紅
(横光利一)
枝先へ枝先へ花百日紅
(星野立子)
老い母のまなざしに慣れ百日紅
(原裕)
弟や恋の傘さす百日紅
(清水基吉)
学僧を日ざらしにして百日紅
(廣瀬直人)
口軽く病を語る百日紅
(相馬遷子)
境内のこれは別格百日紅
(高澤良一)
さほどにはあかくはならぬ百日紅
(高澤良一)
百日紅いついつまでの父たりや
(清水基吉)
百日紅動かぬ川を横たへぬ
(内藤吐天)
百日紅乙女の一身またゝく間に
(中村草田男)
百日紅覚えてゐしが忘る路
(高澤良一)
百日紅学問日々に遠ざかる
(相馬遷子)
百日紅ごくごく水を呑むばかり
(石田波郷)
百日紅心つまづき声からび
(石田波郷)
百日紅この叔父死せば来ん家か
(大野林火)
百日紅この地母郷のごと見むか
(角川源義)
百日紅坂がそのまま門内へ
(波多野爽波)
百日紅盛りなりいざ極楽寺
(高澤良一)
百日紅咲く世に朽ちし伽藍かな
(飯田蛇笏)
百日紅白きはどこか供華めきて
(石塚友二)
百日紅つかれし夕べむらさきに
(橋本多佳子)
百日紅何年後は老婆たち
(三橋鷹女)
百日紅の午後盛り上る泉の芯
(田川飛旅子)
百日紅日に日に散るを看取るごと
(高澤良一)
百日紅百日咲いて開かずの門
(三橋鷹女)
百日紅ひらひらと女児うまれけり
(平井照敏)
百日紅水まけば熱き香をあぐる
(上村占魚)
百日紅燃えよ水泳日本に
(長谷川かな女)
百日紅をさな木なれば涼しさよ
(相馬遷子)
三鬼の寺瘤を増やして百日紅
(右城暮石)
しかすがに生きて芽を吹く百日紅
(河野静雲)
死神が死んで居るなり百日紅
(永田耕衣)
僧房の閑に飽きけり百日紅
(松瀬青々)
大伽藍炎上の跡百日紅
(広瀬直人)
旅われのいつも遠くに百日紅
(加倉井秋を)
散れば咲き散れば咲きして百日紅
(加賀千代女)
寺の門に猿曳憩ふ百日紅
(寺田寅彦)
奈良坂の家うち暗きさるすべり
(桂信子)
曝書まぶし百日紅の花よりも
(星野立子)
花を載せ老百日紅花を撒く
(百合山羽公)
独り居れば昼餉ぬきもしつ百日紅
(阿部みどり女)
ひらがなの文音百日紅溢れ
(河野多希女)
富士近き街に目覚めぬ百日紅
(角川源義)
ゆふばえにこぼるゝ花やさるすべり
(日野草城)
来客や白さるすべりをうちあふぎ
(高澤良一)
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