歳 暮
【鑑 賞】 月冴て市の歳暮のあはれなり
明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の俳句作品。
月に照らされている寂し気な情景が目に浮かんでくる句。
以下、季語「歳暮」の解説です。
【表 記】
(漢字) 歳暮
(ひらがな) せいぼ、さいぼ
(ローマ字) seibo
【季 節】
冬
【分 類】
人事
【意味・説明】
歳暮とは、「年の暮れ」「年末」を意味する言葉ですが、年末に世話になった人などに贈り物をすること、また、その贈り物を意味することもあります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
伊勢海老の生きて跳ねつぐ歳暮かな
(鷹羽狩行)
うなぎ屋が歳暮によこす味醂かな
(龍岡晋)
おが屑が跳んで一躍歳暮海老
(阿波野青畝)
お歳暮に大きな鴨と思ふかな
(阿波野青畝)
お歳暮に庄助さんの國の酒
(高澤良一)
お歳暮や京の老舗の包み紙
(村山故郷)
お次まで執事案内の歳暮客
(野島無量子)
竃の火歳暮の使ひあたり行く
(喜谷六花)
鴨の脚冷たかりける歳暮かな
(岡本松濱)
薬鍋やりて嬉しき歳暮かな
(立花北枝)
声からして歳暮の人となりしかな
(長谷川かな女)
此歳暮易の面も覺束なし
(正岡子規)
さる方や歳暮礼なる花一把
(尾崎迷堂)
輯を立て生けるしるしの歳暮海老
(阿波野青畝)
しんかんたる英国大使館歳暮れぬ
(加藤楸邨)
歳暮てふ書箋百枚やさしかり
(田中裕明)
歳暮とて五粒もらひし花の種
(如月真菜)
歳暮の鮭書庫に吊して埓もなや
(安住敦)
歳暮の荷積みてアパート住居かな
(高浜年尾)
歳暮の街の灯基地の主婦の目つきまとう
(栗林一石路)
知遇の縁歳暮今年も変りなく
(横井迦南)
ないそでをなをふる雪の歳暮かな
(井上井月)
にんべんの節の切手や歳暮礼
(高田蝶衣)
寝そべつているお歳暮の長芋が
(佐藤鬼房)
煤煙のうつろふままの歳暮光
(石田波郷)
パセリ水揚げて歳暮の波となる
(蓬田紀枝子)
曳売の本屋が歳暮呉れにけり
(石田波郷)
人つんと雪もふらせぬ歳暮哉
(服部土芳)
盲ひゆく患者の歳暮受くべきや
(向野楠葉)
山国へ送る乾鮭歳暮かな
(小澤碧童)
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