海の上の蜃気楼

蜃気楼

 

【鑑 賞】首のべて通ふ駱駝も蜃気楼

大正・昭和時代の書道家・富永眉峰(とみながびほう)の作品。

蜃気楼が現れている光景が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「蜃気楼」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 蜃気楼

(ひらがな) しんきろう

(ローマ字) shinkiro

 


季 節


 


【分 類】


天文

 


【意味・説明】


蜃気楼は、気温と光の屈折の関係によって、離れた場所の物体が表出する現象です。

古くには、海の中の蛤(はまぐり)が気を吐くために生じると考えられていました。


A mirage is a phenomenon in which an object in a distant place appears due to the relationship between temperature and light refraction.

In the old days, it was thought that clams in the sea were caused by the exhalation of air.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

青田中蜃気楼めく野馬追武者
(松崎鉄之介)

魚津とはさみしき町や蜃気楼
(加藤三七子)

生まざりし身を砂に刺し蜃気楼
(鍵和田釉子)

海亀の骸ころびぬ蜃気楼
(阿波野青畝)

海に入る道はなかりき蜃気楼
(三橋敏雄)

巨き船出でゆき蜃気楼となる
(山口誓子)

貝類のこぞり舌出す蜃気楼
(能村研三)

閘門も見え蜃気楼めきにけり
(阿波野青畝)

ゴビ灘にただよへる湖の蜃気楼
(松崎鉄之介)

崑崙の裾の灼くるに蜃気楼
(松崎鉄之介)

珊瑚つむ船の行方や蜃気楼
(松瀬青々)

しばらくは恋めくこころ蜃気楼
(岡本眸)

条件の揃ひて待てる蜃気楼
(稲畑汀子)

蜃気楼消えてやうやくその辺り
(稲畑汀子)

蜃気楼沖にも祭あるごとし
(鷹羽狩行)

蜃気楼たつてふ海に不思議なし
(福田蓼汀)

蜃気楼に誘はれさうな昼の酔
(能村研三)

蜃気楼はたして見せぬ魚津かな
(百合山羽公)

蜃気楼見せぬばい貝つつきけり
(百合山羽公)

蜃気楼見むとや手長人こぞる
(芥川龍之介)

蜃気楼われはわづかに句帳持ち
(中村汀女)

戦死せる戦友の町蜃気楼
(松崎鉄之介)

そは秋の蜃気楼なりしやも知れず
(山口誓子)

同舟の人の見付けし蜃気楼
(鈴木花蓑)

舞ふや失せ沙漠の果の蜃気楼
(加藤知世子)

見し人は黒ばかりや蜃気楼
(能村登四郎)

みつけしは非番の厨夫蜃気楼
(山口誓子)

ものいはぬ女の佇てり蜃気楼
(加藤三七子)

憂愁は距りにあり蜃気楼
(鷹羽狩行)

予告なきこと世に多く蜃気楼
(鷹羽狩行)

 


【関連季語・子季語】


海市(かいし)

 


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