新 緑
【鑑 賞】新緑の風にゆらるるおもひにて
明治中期から昭和中期にかけての俳人・飯田蛇笏(いいだだこつ)の作品。
爽やかな緑のある光景が目に浮かんでくる句。
以下、季語「新緑」の解説です。
【表 記】
(漢字) 新緑
(ひらがな) しんりょく
(ローマ字) shinryoku
【季 節】
夏
【分 類】
植物
【意味・説明】
新緑は、初夏における新樹の鮮やかな緑色を意味する季語です。
「緑さす」と同趣向の言葉です。
Shinryoku is a season word that means the bright green color of new trees in early summer.
It is a word of the same savor as “midorisasu”.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
いくつかの部屋新緑の椅子の部屋
(山口誓子)
植ゑられてすぐ新緑に加はれり
(上田五千石)
内に凝るもの新緑となりて現る
(山口誓子)
風邪引いて炬燵を愛す新緑裡
(日野草城)
古塔小さし洩れ日翻りの新緑に
(石原八束)
山門や新緑ゆたかなる大寺
(村山古郷)
新緑に雨ひかり降り降りやまず
(柴田白葉女)
新緑に命かがやく日なりけり
(稲畑汀子)
新緑に伸びし眉毛を切りおとす
(相馬遷子)
新緑の雨に紅茶のかんばしく
(日野草城)
新緑の雨やいそげる川の波
(山口誓子)
新緑の映ゆるにあらず鐘蒼し
(水原秋桜子)
新緑の垣越しに客二三人
(飯田龍太)
新緑の風にゆらるるおもひにて
(飯田蛇笏)
新緑の風吹きかはる夢のなか
(飯田龍太)
新緑の椎の最も昂れる
(百合山羽公)
新緑の島根を洗ふ濤の段
(西島麦南)
新緑の土佐へ転居の荷を送る
(右城暮石)
新緑の中鼎談の椅子置かれ
(池田秀水)
新緑のなかまつすぐな幹ならぶ
(桂信子)
新緑の庭より靴を脱ぎ上る
(山口誓子)
新緑の肺に溶け入る湖畔荘
(佐藤春夫)
新緑の山並鏡なせりけり
(原裕)
新緑の山を重ねて祝はるゝ
(高野素十)
新緑や魚棲むらんか枝に石に
(渡辺水巴)
新緑やうつくしかりしひとの老
(日野草城)
新緑やこつてり絵具つけて画く
(高田風人子)
新緑やたへにも白き琴弾く像
(山口青邨)
新緑やたましひぬれて魚あさる
(渡邊水巴)
新緑や薔薇の花びら地に敷きて
(日野草城)
新緑や夜まで遊ぶ鹿を見し
(阿部みどり女)
新緑を擽る風よせせらぎよ
(林翔)
塔仰ぐとき新緑に染まりつゝ
(稲畑汀子)
まほろばの膽澤新緑水明り
(佐藤鬼房)
宿一歩出て新緑に目を細む
(高澤良一)
わが心わが身新緑の山に入る
(相馬遷子)
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