宝 船
【鑑 賞】 宝舟目出度さ限りなかりけり
明治中期から昭和中期にかけての俳人・高浜虚子(たかはまきょし)の俳句作品。
新年を迎えた喜びが強く感じられる句。
以下、季語「宝船」の解説です。
【表 記】
(漢字) 宝船
(ひらがな) たからぶね
(ローマ字) takarabune
【季 節】
新年
【分 類】
人事
【意味・説明】
宝船は、良い初夢を見るために枕の下に敷く、宝や七福神を乗せた船の絵をいいます。
元旦もしくは正月二日の夜に敷いて寝るとされています。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
老いぬれば枕は低し宝舟
(水原秋櫻子)
敷妙の古き枕や宝船
(高橋淡路女)
七人は重たからずや宝船
(鷹羽狩行)
つくづくと寶はよき字宝舟
後藤比奈夫()
宝船うすくのしたる衾かな
(阿波野青畝)
宝舟御枕香ぞいや高き
(黒柳召波)
宝舟旦一片の反古かな
(安藤橡面坊)
宝船ツアーといふはなかりけり
(高澤良一)
宝舟つたなき絵にてなつかしき
(水原秋櫻子)
宝舟届けくれけり俳諧師
(水原秋櫻子)
宝舟の葢沈み居る清水かな
(会津八一)
宝舟真帆いつばいに描きけり
(阿波野青畝)
宝舟や春と冬との堺うら
(谷木因)
滾る湯をなだめる水や宝舟
(宇佐美魚目)
天丼と一声客や宝船
(村山故郷)
どこも呼ばぬ宝舟買うて戸ざしけり
(中島月笠)
年寄の夢の淡さよ宝船
(後藤比奈夫)
七十路は夢も淡しや宝船
(水原秋櫻子)
何を欲る老の敷寝の宝舟
(富安風生)
願ふことただよき眠り宝船
(富安風生)
ねんごろに一夜寝敷きの宝船
(村山故郷)
鼻息に飛んでは輕し寶舟
(正岡子規)
ふところに東叡山の宝舟
(深見けん二)
古き宮の宝舟なり買ひにけり
(山口青邨)
町灯りてはや売りに来ぬ宝舟
(渡辺水巴)
やごとなき一筆がきや宝舟
(黒柳召波)
病みし髪みだれしままに宝舟
(水原秋櫻子)
宵すでに熟睡となりぬ宝舟
(水原秋櫻子)
夜に入りていよいよ雪に宝舟
(宇佐美魚目)
世渡りの波をのかれて寶舟
(正岡子規)
吾妹子が敷いてくれたる宝舟
(高浜虚子)
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