雨に濡れる笹の葉

虎が雨

 

【鑑 賞】 寝白粉香に立ちにけり虎が雨

大正前期から昭和中期にかけての俳人・日野草城(ひのそうじょう)の俳句作品。

何とも言えない艶めかしさに満ちた句。

 

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以下、季語「虎が雨」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 虎が雨

(ひらがな) とらがあめ

(ローマ字) toragaame

 


季 節


 


【分 類】


天文

 


【意味・説明】


虎が雨とは、旧暦の 5月28日に降る雨のことをいいます。

この日は『曽我物語』で曽我兄弟が仇討ちを果たした日で、虎が雨は曾我祐成の妾であった虎御前(とらごぜん)の名前に由来しています。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

海女が戸の牡丹ぬるる虎が雨
(富安風生)

大磯の誠しぐるゝ虎が雨
(正岡子規)

かりそめに京にある日や虎が雨
(村上鬼城)

川留の伊東どのやな虎が雨
(炭太祇)

恋もなき草刈共や虎が雨
(石井露月)

こよろぎの浪を叩きて虎ケ雨
(阿波野青畝)

小割れして蛸壷虚し虎ケ雨
(阿波野青畝)

さめざめと泣き給ふべし虎が雨
(相生垣瓜人)

しんみりと虎が雨夜の咄かな
(八十村路通)

草紙見て涙たらすや虎が雨
(八十村路通)

大名の顔にかゝるや虎が雨
(松瀬青々)

竹青し虎が雨マつゆ昨日こそ
(八十村路通)

竹の中岐れて四方へ虎が雨
(石川桂郎)

田の中に墓碑ただ一つ虎ケ雨
(阿波野青畝)

辻占に身をはかなむや虎が雨
(高田蝶衣)

虎が雨吾子の家路をたどる夜
(角川源義)

虎が涙雨てふ庭の草木かな
(石川桂郎)

虎が雨うまいの顔のうつくしき
(日野草城)

虎が雨御殿場線を洗ひけり
(百合山羽公)

虎が雨晴れて小磯の夕日かな
(内藤鳴雪)

泣かれては泣かざるまでや虎ケ雨
(中村草田男)

寝白粉香に立ちにけり虎が雨
(日野草城)

白昼を灯す手職や虎が雨
(神蔵器)

八兵衛も泪こぼしぬ虎が雨
(井上井月)

八兵衛や泣ざなるまい虎が雨
(榎本其角)

母がいふ虎が雨とはおらが雨
(佐藤鬼房)

針箱をいぢくる尼や虎が雨
(阿波野青畝)

ひとたびの虹のあとより虎が雨
(阿波野青畝)

日の本や天長地久虎が雨
(小林一茶)

末世でも神の国ぞよ虎が雨
(小林一茶)

藻汐草焼けば降るなり虎が雨
(高浜虚子)

 


【関連季語・子季語】


虎が涙

 


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