露
【鑑 賞】 うかうかと藪陰行けば月の露
明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の俳句作品。
「月の露」という表現に面白味が感じられる句。
以下、季語「露」の解説です。
【表 記】
(漢字) 露
(ひらがな) つゆ
(ローマ字) tsuyu
【季 節】
秋
【分 類】
天文
【意味・説明】
単に「露」とすると秋の季語となります。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
あちこちの祠まつりや露の秋
(芝不器男)
あぢさいや花と露との重みにて
(正岡子規)
あとやさき百寿も露のいのちかな
(河野静雲)
あら古や露に千鳥をすまの躰
(椎本才麿)
いくまんの露の俳句が勲章に
(山口青邨)
いざゝらば露よ答よ合点か
(小林一茶)
一度だけの妻の世終る露の中
(能村登四郎)
一点の露の光芒拡大す
(中村汀女)
うなづきて露にめつむる仏かな
(飯田蛇笏)
うは露も御覧を経たり今日の菊
(尾崎紅葉)
おつるとは梢の露も哀れなり
(尾崎紅葉)
お寺様守りて露の漁港かな
(八木林之介)
おぼしめしありがたく露しろきかな
(久保田万太郎)
おほらかに露の凝りしが葡萄とも
(高澤良一)
かさなりて死ねる蝗も露まみれ
(岸風三楼)
かたまりて露の穂絮やけふ飛ばん
(石田波郷)
かなしくて浴衣の尻や草の露
(会津八一)
かまつかに露のいらかの雀どち
(飯田龍太)
からめ手の木曾川へ落つ露の径
(松本たかし)
きちかうの露にもぬれよ鞠袴
(高井几董)
くるひとぶ鵯に杉菜の露ぐもり
(松村蒼石)
この露をまちて寝たぞや起きたぞや
(上島鬼貫)
さきつ散りつ皆露の萩萩の露
(正岡子規)
さはがしき露の栖やくつわ虫
(炭太祇)
さびしげに書付消さん笠の露
(松尾芭蕉)
しげしげと目で物いふや萩の露
(内藤丈草)
しばしもとなき魂やどせ艸の露
(加舎白雄)
しんとして露に音あり朝桜
(正岡子規)
たま棚は露も泪もあぶらかな
(服部嵐雪)
たをたをと竹をひきゆくや露の朝
(中勘助)
つまだちて草鞋新たや露の橋
(飯田蛇笏)
つゆくさの露の命のあとやさき
(西島麦南)
とく起きて散歩かゝさず蓼の露
(鈴木花蓑)
なつかしの大樹や露を踏み仰ぐ
(阿部みどり女)
はろかなる露の北斗の尾の日本
(加藤秋邨)
ひつそりと嵐のあとを露の置く
(尾崎紅葉)
一つ葉にをかしき露のはちき哉
(正岡子規)
ひとつ家の露の温泉富の婢もひとり
(皆吉爽雨)
へちま引きておどろく露のつめたさに
(及川貞)
をだまきに露微塵なる五月富士
(富安風生)
【関連季語・子季語】
白露 朝露 夜露
【他の季語を探す】
◇ 春の季語
◇ 夏の季語
◇ 秋の季語
◇ 冬の季語
◇ 新年の季語
◆ 五十音で探す