柳

 

【鑑 賞】 朧とは桜の中の柳かな

明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の俳句作品。

春そのものといった雰囲気に包まれた句。

 

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以下、季語「柳」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 柳

(ひらがな) やなぎ

(ローマ字) yanagi

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


柳はヤナギ科ヤナギ属の樹木で、「風見草」や「遊び草」と呼ばれることもあります。

「楊」という漢字の表記もあります。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あかつきの星を緡りし柳かな
(加藤暁台)

いざいでう柳の小簑梅の笠
(正岡子規)

いろいろに風のひろがる柳かな
(正岡子規)

上へまだ延ぬでもなき柳かな
(横井也有)

うぐひすは起こせどねぶる柳かな
(加賀千代女)

うつらうつら紅葉して行く柳かな
(会津八一)

老そめてことにめでたき柳かな
(高井几董)

おもひ出て物なつかしき柳かな
(椎本才麿)

かたくなに枝垂れぬ柳道真忌
(竹下しづの女)

かへり見る門には柳ばかりなり
(正岡子規)

傘に押し分けみたる柳かな
(松尾芭蕉)

けろりくわんとして雁と柳哉
(小林一茶)

県庁と市役所と並ぶ柳かな
(寺田寅彦)

口上のはてて詠るやなぎ柳かな
(立花北枝)

蝙蝠の軒をはなれぬ柳かな
(寺田寅彦)

ここ啄木の北上川か目に柳
(栗林一石路)

この奥に暮るゝ峡ある柳かな
(芝不器男)

この辺は名もなき家の柳哉
(正岡子規)

五六本寂寞として柳かな
(会津八一)

紙燭して客おくり出す柳かな
(椎本才麿)

しばらくは風にまかせし柳哉
(正岡子規)

すつかり病人になつて柳の糸が吹かれる
(尾崎放哉)

大仏の開眼かすむ柳かな
(野村喜舟)

煙草屋の娘うつくしき柳かな
(寺田寅彦)

つきがねのひびきに動く柳かな
(椎本才麿)

出る杭をうたうとしたりや柳かな
(与謝蕪村)

豆腐屋の襟を摩でたる柳かな
(幸田露伴)

とりつきて蕣上る柳哉
(正岡子規)

ながれてはまた根にかへる柳かな
(加賀千代女)

ならびたる柳の糸の間かな
(後藤夜半)

二階から紙屑捨てる柳かな
(会津八一)

猫の子のいづれに傅ふ柳かな
(会津八一)

橋まではともかく歩く柳かな
(瀧井孝作)

はつきりと桜の中の柳かな
(正岡子規)

ひかりさす闇のあらしの柳哉
(松岡青蘿)

引あげて水音くらき柳かな
(斯波園女)

ひつたりと風のとまりし柳かな
(正岡子規)

昼の夢ひとりたのしむ柳かな
(加賀千代女)

父母を辞して書窓の柳かな
(会津八一)

渤海の平らにつづく柳かな
(正岡子規)

まちがへてほめし隣の柳哉
(正岡子規)

見上ぐればまだ日の残る柳かな
(志太野坡)

みよし野に闇一結び柳かな
(加賀千代女)

むかふるに柳おくるに梅の宿
(泉鏡花)

百とせにもう一眠り柳かな
(加賀千代女)

山かづらかけて遠目の柳かな
(松岡青蘿)

ゆつくりと時計のうてる柳かな
(久保田万太郎)

楊貴妃の捨て沓かけん柳かな
(立花北枝)

よけて入る雨の柳や切戸口
(永井荷風)

わたりふたつ見えて夕日の柳哉
(高井几董)

 


【関連季語・子季語】


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