秋の雲
【鑑 賞】秋の雲はてなき瑠璃の天をゆく
大正時代半ばから平成初期にかけての俳人・山口誓子(やまぐちせいし)の作品。
秋の空の美しい青さが目に浮かんでくる句。
以下、季語「秋の雲」の解説です。
【表 記】
(漢字) 秋の雲
(ひらがな) あきのくも
(ローマ字) akinokumo
【季 節】
秋
【分 類】
天文
【意味・説明】
「秋の雲」は、秋の青空に浮かんでは消えてゆく雲を表現する季語です。
“Akinokumo” is a season word that expresses the clouds that float and disappear in the blue sky of autumn.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
秋の雲雨ならむとして海の上
(永井荷風)
秋の雲いよいよ高く登りけり
(正岡子規)
秋の雲愁のごとく刷けるかな
(富安風生)
秋の雲気象の青旗は昏れのこり
(井上雪)
秋の雲湖水の空を渡りけり
(正岡子規)
秋の雲しろじろとして夜に入りし
(飯田蛇笏)
秋の雲大仏の上に結び解け
(高浜虚子)
秋の雲ただむらむらと別れかな
(夏目漱石)
秋の雲照る日のかたにゆきてきゆ
(山口誓子)
荒海や波をはなれて秋の雲
(加藤暁台)
いく山のかなたといへど秋の雲
(飯田龍太)
徒らに古塔ぞ聳ゆ秋の雲
(臼田亜浪)
いつも乗るバスの時間や秋の雲
(鈴木真砂女)
丘に住んで秋雲長き晝寝哉
(内田百間)
学僧のすめるまなざし秋の雲
(河野静雲)
この時刻けふもかしこに秋の雲
(富安風生)
すい~と流れて早し秋の雲
(幸田露伴)
少しづつゐざる景色や秋の雲
(村上鬼城)
その高さ深くとも見え秋の雲
(高浜年尾)
蕎麦喰はぬ日数や旅の秋の雲
(会津八一)
停りてほぐれつつあり秋の雲
(高野素十)
とどまるもとどまらざるも秋の雲
(稲畑汀子)
日蝕せんとして秋の雲黄なり
(寺田寅彦)
ねばりなき空にはしるや秋の雲
(内藤丈草)
沙魚の目にうつりてとほし秋の雲
(会津八一)
低く迷ふ廣野の果の秋の雲
(正岡子規)
ひろびろとさと刷きすとのび秋の雲
(富安風生)
二色の絵具に足るや秋の雲
(黒柳召波)
ほうと息つけば秋草秋の雲
(能村登四郎)
抛りあげしままに停まる秋の雲
(富安風生)
前垂に刀豆摘むや秋の雲
(三橋鷹女)
松杉もおがめと晴るゝ秋の雲
(向井去来)
見つゝ消ゆ雲あり秋の雲の中
(皆吉爽雨)
峰を出てそこら遊ぶや秋の雲
(立花北枝)
深山木や斧に湿ふ秋の雲
(尾崎紅葉)
みるほどにちるけはしさや秋の雲
(飯田蛇笏)
見渡すや只秋の空秋の雲
(正岡子規)
森の中に出水押し行く秋の雲
(河東碧梧桐)
夕焼けて日和になりぬ秋の雲
(正岡子規)
横雲のかかりて秋の雲の峰
(山口誓子)
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