秋の海
【鑑 賞】秋の海渺々として入日哉
明治時代の俳人・歌人・正岡子規(まさおかしき)の作品。
秋の夕暮れの海の寂しさが伝わってくる句。
以下、季語「秋の海」の解説です。
【表 記】
(漢字) 秋の海
(ひらがな) あきのうみ
(ローマ字) akinoumi
【季 節】
秋
【分 類】
地理
【意味・説明】
「秋の海」は、秋になって海が見せる鮮やかな青さ、波の白さなど海を表現する季語です。
“Akinoumi” is a season word that describes the sea, such as the vivid blue of the sea and the whiteness of the waves in autumn.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
秋の海秋の山恋ふひたぶるに
(阿部みどり女)
秋の海今も昔の海士小舟
(山口誓子)
秋の海音頭が瀬戸を流れけり
(正岡子規)
秋の海されど藻青き渚かな
(尾崎迷堂)
秋の海双眼鏡に帆が黒し
(宇佐美魚目)
秋の海凪ぎのさだまるまで暗し
(松村蒼石)
秋の海のほとりに立てる仏かな
(野村泊月)
秋の海深きところを覗き過ぐ
(山口誓子)
秋の海船出するより帆をあげぬ
(高橋淡路女)
秋の海見つゝ廊下を送らるゝ
(野村泊月)
秋の海見て来し下駄を脱ぎちらし
(安住敦)
いさかへる鴎に秋の波あらく
(上村占魚)
打揚し巨木に人や秋の海
(西山泊雲)
浦々の隅の隅まで秋の海
(山口誓子)
大岩の穴より見ゆる秋の海
(正岡子規)
ガラス戸の隅隅にまで秋の海
(阿波野青畝)
俥とめて秋の海見るはざまかな
(野村泊月)
銃眼を覗けばありぬ秋の海
(福田蓼汀)
白々と海女が潜れる秋の海
(前田普羅)
絶壁の下にたゝへて秋の海
(高濱年尾)
つかのまの絃歌ひゞきて秋の海
(飯田蛇笏)
つらつらと船ならびけり秋の海
(正岡子規)
灯台にのぼりて秋の海が見ゆ
(今井杏太郎)
西を吹く雲に日落つる秋の海
(大須賀乙字)
はまなすの実にひびくもの秋の海
(加藤秋邨)
馬車遅し松の木の間の秋の海
(野村泊月)
舟人の莨火もえぬ秋の海
(飯田蛇笏)
未だ泳ぐ人数へをり秋の海
(能村登四郎)
町裏に汽車が着きゐて秋の海
(中村汀女)
みをつくし遥々つゞき秋の海
(高浜虚子)
門を出て十歩に秋の海広し
(正岡子規)
山遠し四苦またとほき秋の海
(飯田龍太)
夕暮はいつもあれども秋の海
(岩田凉菟)
夕凪のあとたゝ白し秋の海
(尾崎紅葉)
行きてなほ焚火は遠し秋の浜
(山口誓子)
【関連季語・子季語】
海澄む
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