雨 蛙
【鑑 賞】雨蛙めんどうくさき余生かな
大正時代から平成初期にかけての俳人・永田耕衣(ながたこうい)の作品。
「めんどうくさき」という表現に面白味が感じられる句。
以下、季語「雨蛙」の解説です。
【表 記】
(漢字) 雨蛙
(ひらがな) あまがえる
(ローマ字) amagaeru
【季 節】
夏
【分 類】
動物
【意味・説明】
単なる「蛙」は春の季語ですが、「雨蛙」は夏の季語となります。
A simple “蛙” is a season word for spring, but “雨蛙” is a season word for summer.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
雨蛙いつも地の神うつむきて
(百合山羽公)
雨蛙青梅街道曇りけり
(野村喜舟)
雨蛙が雨呼ぶ梅の青さにて
(細見綾子)
雨蛙樫のそよぎに雲忙し
(飯田蛇笏)
雨蛙聞く花茣蓙に手をついて
(松村蒼石)
雨蛙来て居り挿木根付きしよ
(右城暮石)
雨蛙黒き仏の宙に鳴く
(山口誓子)
雨蛙声高になるもあはれなり
(山口素堂)
雨蛙折檻の子のやはらかき
(石田波郷)
雨蛙透明な円ころがれり
(加藤楸邨)
雨蛙とびて細枝にかかりけり
(飯田蛇笏)
雨蛙鳴いて李の葉はにほふ
(高浜年尾)
雨蛙芭蕉に乗りて戦ぎけり
(宝井其角)
雨蛙葉に乗り柴又の草だんご
(長谷川かな女)
雨蛙人を恃みてうたがはず
(富安風生)
雨蛙西日移りて林檎炎ゆ
(飯田龍太)
雨蛙ねむるもつとも小さき相
(山口青邨)
雨蛙飲まず食はずの顔をして
(右城暮石)
雨蛙みじかき手紙母のために
(石田波郷)
雨蛙明恵坐禅の宙に鳴く
(右城暮石)
雨蛙レインコートの女細身
(大野林火)
うたかたに賑ふ水面雨蛙
(稲畑汀子)
産み月をなほ通ひ婢よ雨蛙
(皆吉爽雨)
からたちの刺ゲを啼きけり雨蛙
(野村喜舟)
切々と殉教の地の雨蛙
(古賀まり子)
橋立は雨にかくれて雨蛙
(鈴木花蓑)
藤の芽を撓めて落ちぬ雨蛙
(前田普羅)
山霧や虫にまじりて雨蛙
(飯田蛇笏)
山の子のいつもひとりで雨蛙
(中村汀女)
寄せ書の灯を吹く風や雨蛙
(渡辺水巴)
【関連季語・子季語】
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