青 嵐
【鑑 賞】青嵐定まる時や苗の色
江戸時代前期の俳人・服部嵐雪(はっとりらんせつ)の作品。
一面の苗の鮮やかな色が目に浮かんでくる句。
以下、季語「青嵐」の解説です。
【表 記】
(漢字) 青嵐
(ひらがな) あおあらし
(ローマ字) aoarashi
【季 節】
夏
【分 類】
天文
【意味・説明】
青嵐とは、初夏の青葉が繁っている頃に吹く大風のことをいいます。
Aoarashi is a strong wind that blows in early summer when green leaves are in full bloom.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
青嵐去来や来ると門に立つ
(正岡子規)
青嵐住みなすといふ日数かな
(中村汀女)
青あらし天守に登る草履あり
(前田普羅)
青嵐電車の音と家に来る
(山口誓子)
青嵐柱に背をもたせたる
(高浜虚子)
青あらし吹き抜け思ひくつがへる
(加藤楸邨)
青嵐もつとも朴を吹き白め
(富安風生)
青嵐森の向ふの干衣とぶ
(阿部みどり女)
行灯を虫の巡るや青あらし
(小林一茶)
一切の混沌青嵐矢つぎばや
(橋本多佳子)
後手にむすぶ角帯青嵐
(松村蒼石)
うづくまる関所の前や青嵐
(寺田寅彦)
おごそかに離宮閉ちたり青嵐
(尾崎紅葉)
おとなしく大飯くらへ青あらし
(会津八一)
大原女はすつすつとゆく青嵐
(臼田亜浪)
傾きてヨツトは進む青嵐
(野村泊月)
川瀬ゆるく波をおくるや青嵐
(飯田蛇笏)
来て見れば軒はふ薔薇に青嵐
(芥川龍之介)
峡中のひとの生きざま青嵐
(飯田龍太)
少年のサイ口の家や青嵐
(京極杞陽)
白鷺の並み居る松や青嵐
(寺田寅彦)
千年の礎を吹く青嵐
(臼田亜浪)
谷底に腐つ鎧や青嵐
(野村喜舟)
とまり木に老いける鷲や青嵐
(水原秋桜子)
懐しき心起りぬ青嵐
(原石鼎)
ぬきんでし松のことさら青嵐
(鈴木真砂女)
人妻の手首は細し青嵐
(筑紫磐井)
吹き過ぎぬ割りし卵を青嵐
(平井照敏)
吹けや吹け扇子車に青嵐
(幸田露伴)
俯して見る瓜皮船早し青嵐
(野村泊月)
古桑に掛けある魚籠や青嵐
(芝不器男)
報道のその外側を青嵐
(櫂未知子)
棟二つ谷に沈みて青嵐
(西山泊雲)
山の辺や天蓼拾ふ青嵐
(加舎白雄)
山道や葛のうら葉に青嵐
(寺田寅彦)
若竹を吹き曲げにけり青嵐
(横光利一)
【関連季語・子季語】
青東風
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