笊の上の大根

大 根

 

【鑑 賞】大根で団十郎する子供かな

江戸時代後期の俳人・小林一茶(こばやしいっさ)の作品。

大根を手にして遊ぶ子供の姿がありありと思い浮かんでくる句。

 

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以下、季語「大根」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 大根

(ひらがな) だいこん、だいこ、おおね

(ローマ字) daikon

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


大根は古くより栽培されてきた野菜です。

春の七草の一つに数えられ、その場合は「すずしろ」と呼ばれます。


“Daikon(radish)” is a vegetable that has been cultivated since ancient times.

It is counted as one of the seven herbs of spring, and in that case it is called “Suzushiro”.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あはれなり大根畑の梅一木
(正岡子規)

あま水に大根の芽の沈みけり
(中勘助)

争ひて尾張大根乾く日ぞ
(中村汀女)

いつまでも大根洗ひ見る子かな
(中村汀女)

初ひ女房大根洗ひ積み事始め
(及川貞)

うつし世をかなしみゐたる大根煮て
(細見綾子)

鶯の大根畑に初音かな
(内藤鳴雪)

おでん種臼の大根をたばさみぬ
(高澤良一)

街道に大根洗ふ大盥
(富安風生)

かがやかに大根洗ふはるかかな
(山口青邨)

風の日も妻の執心大根洗ふ
(相馬遷子)

肩出して大根青し時雨雲
(前田普羅)

川二つ流れ大根洗ひをり
(京極杞陽)

屹と立つ大根おろし鳥渡る
(秋元不死男)

口当りに洗ひたてたる大根かな
(野村喜舟)

啓勢の生ま大根を児がかじる
(右城暮石)

さればいの泥によごれつひく
(水田正秀)

しぐるゝや野寺四面の大根畑
(藤野古白)

霜のつくほり大根を貰ひけり
(松瀬青々)

すこやかに頭寒足熱大根汁
(山口青邨)

蘿葡と呼べば大根すらりとす
(加藤楸邨)

声誉求めぬ人ぞ大根乗り出して
(香西照雄)

大根買ふ輪切りにすると決めてをり
(波多野爽波)

大根煮るにほひの湯気が岨路へ
(中村草田男)

大根が一番うまし牡丹鍋
(右城暮石)

大根が煮えてもっとも短き日
(橋閒石)

大根に実の入る旅の寒さかな
(斯波園女)

大根に簑着せて寝ぬ霜夜かな
(村上鬼城)

大根抜く掴みどころはみな同じ
(能村登四郎)

大根の青き頭や神無月
(野村喜舟)

大根の洗はれつゝや長さ増す
(岸風三楼)

大根のいのち出てゐる土の上
(飯田龍太)

大根の形よき葉に旭さし
(高澤良一)

大根の貴賤を問はず堆し
(古舘曹人)

大根の供養のあとの法話かな
(野村泊月)

大根の白さ目立ちて年の暮
(右城暮石)

大根の白さを風のもたらせし
(右城暮石)

大根の大根になる時雨哉
(江左尚白)

大根の土出し肩に日当れる
(星野立子)

大根の野が丘となり野となりし
(阿波野青畝)

大根の太々し又白々し
(相生垣瓜人)

大根のやたらと辛し虻の昼
(石川桂郎)

大根は手が抜けるやう重たさよ
(右城暮石)

大根を洗ふ地靄の濃かりけり
(柴田白葉女)

大根を洗ふ手に水従へり
(高浜虚子)

大根を刻む刃物の音つゞく
(山口誓子)

大根を隣りの壁にかけにけり
(村上鬼城)

大根を煮つゝそゞろに冬はじめ
(山口誓子)

大根を抜きたる跡として残る
(岸風三楼)

大根をひつさげ婆子の腰は弓
(川端茅舎)

大根を水くしやくしやにして洗ふ
(高浜虚子)

谷底へ帰る人々大根負ひ
(福田蓼汀)

道祖神二股大根嘉したまふ
(山口青邨)

どの枝にも大根かけられさるなかせ
(羽部洞然)

流れゆく大根の葉の早さかな
(高浜虚子)

ぬきん出て夕焼けてゐる大根かな
(中田みづほ)

野の池や大根あらへる今日の波
(水原秋桜子)

はつしぐれ大根おろしに甘味かな
(大野林火)

ひげなくて色の白さや秋大根
(村上鬼城)

人妻は大根ばかりをふくと汁
(榎本其角)

ひもろぎや旧正月のかけ大根
(吉岡禅寺洞)

二股のをかしの大根は神にささぐ
(山口青邨)

踏むは踏み大根漬の雲衲等
(河野静雲)

冬来れば大根を煮るたのしさあり
(細見綾子)

冬めきて大根の葉の流るる日
(山口青邨)

故郷の大根うまき亥子かな
(正岡子規)

乾大根遠き田水が月泛べ
(松村蒼石)

道くさの草にはおもし大根かな
(加賀千代女)

武者ぶりの髭つくりせよ土大根
(与謝蕪村)

名月のこれもめぐみや菜大根
(森川許六)

もののふの大根苦き話哉
(松尾芭蕉)

夕月に大根洗う流かな
(正岡子規)

宵月のやがて大根の葉に照りぬ
(中村草田男)

夜をこめて大根を煮る小正月
(細見綾子)

わが立てる大根畑寒くなりぬ
(山口青邨)

 


【関連季語・子季語】


大根畑

 


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