福寿草
【鑑 賞】色がはりなくてめでたし福寿草
江戸時代後期の俳人・桜井梅室(さくらいばいしつ)の作品。
福寿草の鮮やかな黄色の花が目に浮かんでくる句。
以下、季語「福寿草」の解説です。
【表 記】
(漢字) 福寿草
(ひらがな) ふくじゅそう
(ローマ字) fukujuso
【季 節】
新年
【分 類】
植物
【意味・説明】
福寿草は旧暦の元日に咲くということから「元日草」という別名もあります。
Fukujuso is also known as “ganjitsuso” because it blooms on the first day of the lunar calendar.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
朝日さす弓師が店や福寿草
(与謝蕪村)
いたはりに狎れて籠りて福寿草
(富安風生)
医の友の伊豆にこもりぬ福寿草
(松崎鉄之介)
動かねば他に音はなし福寿草
(阿部みどり女)
うち初めし鼓に蕾む福寿草
(長谷川かな女)
大雪に行方不明の福寿草
(長谷川かな女)
おのづから老いて足らへり福寿草
(日野草城)
掛物に十二ケ月や福寿草
(阿波野青畝)
片づけて福寿草のみ置かれあり
(高浜虚子)
壁の色すこしさびしく福寿草
(京極杞陽)
唐子立つごとく十あまり福寿草
(大野林火)
枯枝の落ちて横たふ福寿草
(山口青邨)
小書院のこの夕ぐれや福寿草
(炭太祇)
下町や軒端の鉢の福寿草
(石塚友二)
しほらしき誠や今朝の福寿草
(服部土芳)
正月も古りつつ福寿草たもつ
(松本たかし)
掃除して土あたらしく福寿草
(右城暮石)
僧正の児祝われぬ福寿草
(三宅嘯山)
頼もしき二十七顆の福寿草
(後藤夜半)
短命の佛妻にも福寿草
(森澄雄)
地の果に咲きほほけゐし福寿草
(稲畑汀子)
茶を飲める福禄人や福寿草
(河野静雲)
帳箱の上に咲きけり福寿草
(小林一茶)
妻の座の日向ありけり福寿草
(石田波郷)
何もなき床に置きけり福寿草
(高浜虚子)
日輪の福寿草の庭二歩三歩
(阿部みどり女)
ぬくもりて来し指先や福寿草
(草間時彦)
日のあたる窓の障子や福寿草
(永井荷風)
日の障子太鼓の如し福寿草
(松本たかし)
福寿草折れたるままに咲きにけり
(会津八一)
福寿草家族のごとくかたまれり
(福田蓼汀)
福寿草くさとは見えぬ影ぼうし
(桜井梅室)
福寿草自適の日々が待たれけり
(高澤良一)
福寿草なれば豊かや静心
(森澄雄)
福寿草膝に日を乗せ露店翁
(百合山羽公)
福寿草ひらききつたりまぶしかり
(細見綾子)
福寿草ひらきつぼむも野のごとく
(山口青邨)
福寿草ひらきてまろし古典よむ
(高橋淡路女)
福寿草平均寿命延びにけり
(日野草城)
福寿草満開雪塊しりぞくに
(山口青邨)
福寿草ゆるやかに過ぐ今の刻
(能村登四郎)
ふたもとはかたき莟や福寿草
(黒柳召波)
筆の穂の長いのが好き福寿草
(後藤夜半)
ふゝと笑ふ夫婦二人や福壽草
(正岡子規)
文書くもかごとも日向福寿草
(中村汀女)
べらぼうに薬罐大なる福寿草
(久米正雄)
ボーナスのなきわが前に福寿草
(鷹羽狩行)
盆栽の梅早く福壽草遲し
(正岡子規)
窓に向き眼鏡が光る福寿草
(菖蒲あや)
愛弟子もまた病者なり福寿草
(阿部みどり女)
【関連季語・子季語】
元日草 歳旦草
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