冬の夜の星空

冬銀河

 

【鑑 賞】 冬銀河らんらんたるを惧れけり

大正時代から昭和後期にかけての俳人・富安風生(とみやすふうせい)の俳句作品。

数々の星がきらめく冬の夜空が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「冬銀河」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 冬銀河

(ひらがな) ふゆぎんが

(ローマ字) fuyuginga

 


季 節


 


【分 類】


天文

 


【意味・説明】


冬銀河とは、冬の寒く冴えわたった夜空に見える天の川のことを言います。

「天の川」とした場合は、秋の季語となります。

天の川が無数の星で成り立っていることを証明したのはガリレオ・ガリレイで、1610年のことでした。

現在では、地球を含む太陽系は天の川銀河の中に位置しており、私たちはこの銀河を内側から見ているために天の川が天球上の帯として見えるとされています。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

いきいきと言葉生れくる冬銀河
(小澤克己)

狼が空に来てゐる冬銀河
(石原八束)

覚えあり冬銀河より妻のこゑ
(神蔵器)

女盛りのマチ子と仰ぐ冬銀河
(青木重行)

女にはくちびるの栄冬銀河
(藤田湘子)

かの山を西に落すや冬銀河
(山口青邨)

機関音恋めき遡る冬銀河
(平井さち子)

こゑなさぬ願ひを切に冬銀河
(上田日差子)

三十年の箪笥軋める冬銀河
(鍵和田秞子)

島杳し噴煙まぎる冬銀河
角川源義)

草原に使ふ火小さき冬銀河
(山田弘子)

たたいて馬を睡りへ誘ふ冬銀河
(友岡子郷)

ひとりごといふ母思ふ冬銀河
(大野林火)

火の山の上に消えをり冬銀河
(上村占魚)

再びは生まれ来ぬ世か冬銀河
(細見綾子)

冬銀河映して凪げりエーゲ海
(毛塚静枝)

冬銀河姥子はひとり来べき宿
(及川貞)

冬銀河かくもしづかに子の宿る
(仙田洋子)

冬銀河紙で切りたる指うづく
(平井照敏)

冬銀河暗闇を水流れをり
(桂信子)

冬銀河言葉で殺し合ふことを
(櫂未知子)

冬銀河澄むばかりなり告白以後
(楠本憲吉)

冬銀河青春容赦なく流れ
(上田五千石)

冬銀河垂れて狼ほろびの地
(橋本榮治)

銀河何處ぞとあふぐ千鳥足
(高澤良一)

冬銀河にんげんは殖えつづけおり
(池田澄子)

冬銀河魔法の国の汽車に乗る
(小澤克己)

冬銀河見てきし蒼き髪を解く
(小澤克己)

冬銀河山影かむる和紙の里
(柴田白葉女)

冬銀河らんらんたるを惧れけり
(富安風生)

文楽や志ん生やいま冬銀河
(岡本眸)

頬杖の何を見てゐる冬銀河
(加藤楸邨)

身に起る水の増減冬銀河
(野見山朱鳥)

読み痴れて失ひし刻冬銀河
(鍵和田秞子)

わが魂を鼓舞してをりぬ冬銀河
(小澤克己)

 


【関連季語・子季語】


冬の銀河  冬天の川

 


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