冬木立

冬木立

 

【鑑 賞】 南宗の貧しき寺や冬木立

江戸後期から明治時代初期にかけての画家天国学者・平尾仙魯(ひらおろせん)の俳句作品。

冬の寒さが伝わってくるように感じられる句。


「冬木立」と「寺」が詠み込まれた俳句作品を、いくつか味わってみて下さい。

寺ありて小料理屋もあり冬木立
(正岡子規)

盗人に鐘撞く寺や冬木立
(炭太祇)

冬木立寺に蛇骨を伝へけり
(夏目漱石)

山寺に豆麩引くなり冬木立
(小林一茶)

よるみゆる寺のたき火や冬木立
(炭太祇)

 

スポンサーリンク

 

 

以下、季語「冬木立」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 冬木立

(ひらがな) ふゆこだち

(ローマ字) fuyukodachi

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


冬木立とは、冬の林、森、並木をいいます。

「冬木道(ふゆきみち)」や「冬木宿(ふゆきやど)」などとしても用います。

スポンサーリンク

 


【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

明ぼのやあかねの中の冬木立
(高井几董)

ありといふ小屋にも出でず冬木立
(河東碧梧桐)

家二軒畑つくりけり冬木立
(正岡子規)

意志持ちてゆく明るさの冬木立
(岡本眸)

氏神の屋根新しき冬木立
(寺田寅彦)

垣結へる御修理の橋や冬木立
(黒柳召波)

からからと日は吹き暮れつ冬木立
(内藤鳴雪)

からびたる三井の仁王や冬木立
(榎本其角)

組みかけし塔むつかしや冬木立
(加舎白雄)

雲散て喰入る月や冬木立
(三宅嘯山)

郊外に酒屋の蔵や冬木だち
(黒柳召波)

此うへは折るゝばかりぞ冬木立
(高桑闌更)

里ふりて江の鳥白し冬木立
(与謝蕪村)

自動車の光さしこむ冬木立
(西山泊雲)

捨果し景色でもなし冬木立
(高桑闌更)

砂よけや蜑のかたへの冬木立
(野沢凡兆)

其中に境垣あり冬木立
(高浜虚子)

大佛の胸あらはなり冬木立
(寺田寅彦)

旅馬車に渚又遠し冬木立
(飯田蛇笏)

月すでに窓に廻りぬ冬木立
(上村占魚)

手品師がバス待ち顔に冬木立
(村山故郷)

テレビ塔二つも近き冬木立
(瀧井孝作)

手を当てて憩ふ大幹冬木立
(山口青邨)

灯籠の星月夜也冬木立
(岩田凉菟)

何鳥か啼いて見せけり冬木立
(小澤碧童)

菜畑や小村をめぐる冬木立
(正岡子規)

墓守の娘に逢ひぬ冬木立
(寺田寅彦)

馬蹄師の宿一軒や冬木立
(大須賀乙字)

花鳥にせがまれ尽す冬木立
(広瀬惟然)

ひき出す馬の匂ひや冬木立
(金尾梅の門)

冬木立家居ゆゝしき梺かな
(与謝蕪村)

冬木立いかめしや山のたゞずまひ
(椎本才麿)

冬木立入りて出でくるもののなし
(加藤秋邨)

冬木立色ある者はなかりけり
(正岡子規)

冬木立からからと礫かすめ
(正岡子規)

冬木立烏くひきるかづらかな
(高桑闌更)

冬木立千住の橋の見ゆるなり
(正岡子規)

冬木立瀧ごうごうと聞えけり
(正岡子規)

冬木立月骨髄に入る夜かな
(高井几董)

冬木立ながらに松の御苑かな
(京極杞陽)

冬木立汝来しかと雫打つ
(中村草田男)

冬木立にぎりこぶしのうち熱し
(岸田稚魚)

冬木立に見えすく山の容かな
(高浜年尾)

冬木立のうしろに赤き入日哉
(正岡子規)

冬木立日の入見えて奧深き
(正岡子規)

冬木立三つ四つ鴉飛んで行く
(内藤鳴雪)

冬木立夕焼に露店つくらるる
(大野林火)

冬木立ランプ点して雑貨店
(川端茅舎)

蔕見ゆる貧乏柿や冬こだち
(黒柳召波)

方位なく光陰とどまり冬木立
(福田蓼汀)

満月のほうとのぼりぬ冬木立
(中勘助)

三笠山さすがに深し冬木立
(三宅嘯山)

みよしのやもろこしかけて冬木立
(与謝蕪村)

孟子読む郷士の窓や冬木立
(黒柳召波)

ゆら~と朴の古葉や冬木立
(内藤鳴雪)

 


【関連季語・子季語】


冬木道  冬木宿  冬木

 


【他の季語を探す】


春の季語

夏の季語

秋の季語

冬の季語

新年の季語

五十音で探す

 

スポンサーリンク