蜂
【鑑 賞】 憎まるゝ小僧は蜂にさゝれけり
明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の俳句作品。
何とも微笑ましい光景が目に浮かんでくる句。
以下、季語「蜂」の解説です。
【表 記】
(漢字) 蜂
(ひらがな) はち
(ローマ字) hachi
【季 節】
春
【分 類】
動物
【意味・説明】
蜂とは、ハチ目(ハチもく)の昆虫のうち、アリ以外の総称です。
女王蜂を中心として、群生する習性を持っています。
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
アカシヤの花のくだちのなほ蜂の寄せをる
(小澤碧童)
あはててはいけない柿を滑る蜂
(高澤良一)
打水の一塊となり蜂溺る
(右城暮石)
うなり落つ蜂や大地を怒り這う
(高浜虚子)
炎天を避けきし蜂の逐ひ難し
(百合山羽公)
生ひたちてすぐにいかつき蜂となる
(百合山羽公)
柿色に降り注ぐ日に蜂降れり
(高澤良一)
蔭日向なく神野寺の蟻と蜂
(高木晴子)
かり~と蟷螂蜂の貌を食む
(山口誓子)
菊の蜂部屋をめぐりて菊日和
(阿部みどり女)
金無垢の蜂を放ちぬ枯木の枝
(内藤吐天)
口笛吹けば蜂居ずなりぬ塀長閑
(西山泊雲)
喰ひ合うて蜂死んで居る落葉哉
(寺田寅彦)
狂ひても母乳は白し蜂光る
(平畑静塔)
声立て居代る蜂や花の蝶
(炭太祇)
胡麻の花を破りて蜂の臀かな
(西山泊雲)
こもりくの蜂にさゝれないと桜
(高井几董)
さんしゆゆの葉裏に蜂の小さな巣
(高澤良一)
しづかにも大木の幹蜂離れ
(山口誓子)
石楠花に馬酔木に蜂のつく日かな
(原石鼎)
順礼や蜂に追はれし事もありて
(尾崎迷堂)
杉の葉に長く蜂をり怠ける日
(田川飛旅子)
巣の中に蜂のかぶとの動き見ゆ
(高浜虚子)
巣の蜂怒らせし竿を捨てたり
(河東碧梧桐)
巣の蜂の晩夏ひたすらなる何ぞ
(篠田悌二郎)
西洋の花に蜂去り蜂来る
(正岡子規)
草原や蜂を恐るる狐の子
(正岡子規)
大破して蜂の巣かけし鐘楼かな
(尾崎紅葉)
田のへりの水に蜂鳴く小春かな
(原石鼎)
地に円を描きある中に蜂とまる
(波多野爽波)
朝刊に日いつぱいや蜂あゆむ
(橋本多佳子)
蝶とんぼ蜂みな友や露の庭
(高木晴子)
接木する片手に蜂を拂ひけり
(正岡子規)
つくばひに蜂のきてのむ土用晴れ
(三好達治)
手の薔薇に蜂来れば我王の如し
(中村草田男)
てのひらに蜂を歩ませ歓喜仏
(三橋鷹女)
天心の田舎に蜂の還るかな
(永田耕衣)
なきがらの蜂に黄色の縞黒の縞
(橋本多佳子)
なぐり吹く山風ぐらし蜂の縞
(成田千空)
ネクタイにとまりてとばず雀蜂
(茨木和生)
花冷や翅なきごとく蜂あゆむ
(林翔)
花八つ手蜂さむ~と飛べるのみ
(飯田蛇笏)
日が射して蜂を待つかの石蕗の花
(阿部みどり女)
ひとりゐて蜂にさされた
(種田山頭火)
吹かれ来し野分の蜂にさゝれけり
(星野立子)
藤棚の蜂逸れ来る二階かな
(会津八一)
藤の蜂たはむれに来るわれの方
(篠田悌二郎)
ポタージュの匂ひに蜂来カフェテラス
(高澤良一)
牡丹蕊深く分け出づる蜂の名残り哉
(松尾芭蕉)
窓近き目覚めに蜂の全き屍
(桂信子)
【関連季語・子季語】
蜂の巣 蜂の仔
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