糸 瓜
【鑑 賞】をととひの糸瓜の水も取らざりき
明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の作品。
「絶筆三句」のうちの一句。
以下、季語「糸瓜」の解説です。
【表 記】
(漢字) 糸瓜
(ひらがな) へちま
(ローマ字) hechima
【季 節】
秋
【分 類】
植物
【意味・説明】
糸瓜はウリ科の一年草で、「イトウリ」「トウリ」と呼ばれることもあります。
Hechima is an annual herb of the Cucurbitaceae family, sometimes called “itouri” or “touri.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
秋の燈の糸瓜の尻に映りけり
(正岡子規)
秋晴や黄色き花の糸瓜垣
(松本たかし)
雨風の糸瓜の水も流されぬ
(石田波郷)
ありたけの水を吐いたる糸瓜哉
(石井露月)
一大事も糸瓜も糞もあらばこそ
(夏目漱石)
落し物糸瓜一本秋のくれ
(百合山羽公)
肩はりて壜見ゆ糸瓜の水取ると
(山口青邨)
今日の空水の音して糸瓜垂れ
(原裕)
草の宿糸瓜の水を取つてゐる
(山口青邨)
子の死後も糸瓜の水を取りきれず
(萩原麦草)
五六反叔父がつくりし絲瓜かな
(正岡子規)
西行に絲瓜の歌はなかりけり
(正岡子規)
さぼてんにどうだと下る糸瓜哉
(小林一茶)
子規祭る供物の糸瓜もつとも大
(右城暮石)
しばらくは風のもつるゝ絲瓜かな
(正岡子規)
たまりたる糸瓜の水に月させり
(山口青邨)
だらだらと要領を得ぬ糸瓜哉
(尾崎放哉)
堂守の植ゑわすれたる糸瓜かな
(与謝蕪村)
投げ出したやうな絲瓜や垣の外
(正岡子規)
野分して糸瓜の松に嘆きあり
(石塚友二)
振つて見る糸瓜の水の徳利かな
(会津八一)
糸瓜肥え鶏頭痩せぬ背戸の雨
(正岡子規)
糸瓜咲きつんつるてんを憚らず
(橋閒石)
へちま垂る地異天変のあらざれば
(三橋鷹女)
糸瓜垂れ古き女のむれに入る
(三橋鷹女)
糸瓜にも昔ある世となりにけり
(河東碧梧桐)
仏にも足には馴るる糸瓜かな
(上島鬼貫)
水をとる根岸の糸瓜あるやなし
(芥川龍之介)
夕顔ノ棚に絲瓜モ下リケリ
(正岡子規)
よく見たる右廻りなる糸瓜蔓
(高浜虚子)
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