日の当たる縁側

日向ぼこ

 

【鑑 賞】 目つむれば倖せに似ぬ日向ぼこ

大正時代から昭和末期にかけての俳人・中村汀女(なかむらていじょ)の俳句作品。

やかな冬の情景が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「日向ぼこ」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 日向ぼこ

(ひらがな) ひなたぼこ

(ローマ字) hinataboko

 


季 節


 


【分 類】


人事

 


【意味・説明】


「日向ぼこ」は、「日向ぼこり」を略したもので、日向に出て暖まることをいいます。

転じて、「日向ぼっこ」「日向ぼこう」ということもあります。

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

足許の風の気になる日向ぼこ
(稲畑汀子)

飴の玉いつもふくんで日向ぼこ
(鈴木花蓑)

いくたびも日を失ひぬ日向ぼこ
(後藤夜半)

居こぼれて日向ぼこりの尼ぜかな
(阿波野青畝)

伊太利の太陽の唄日向ぼこ
(高浜虚子)

犬がものを言つて来さうな日向ぼこ
(京極杞陽)

否応なく自分と向き合ふ日向ぼこ
(高澤良一)

浮寝鳥日向ぼこして樹にもあり
(鈴木花蓑)

縁側にどうと倒れて日向ぼこ
(京極杞陽)

おでこよりふらふらと起つ日向ぼこ
(高澤良一)

男とか女を超えて日向ぼこ
(櫂未知子)

おもかげのまなこ細さよ日向ぼこ
(吉岡禅寺洞)

風邪気味の働くいやな日向ぼこ
(阿部みどり女)

切株を仲間のごとく日向ぼこ
(村越化石)

くるめきは日にわれにあり日向ぼこ
(皆吉爽雨)

凩や崖下はよき日向ぼこ
(野村喜舟)

空気銃向ける樹を見て日向ぼこ
(阿部みどり女)

ここちよき死と隣りあひ日向ぼこ
(鷹羽狩行)

子とありて燃えつるる耳日向ぼこ
(皆吉爽雨)

子は墨の髭など生やし日向ぼこ
(京極杞陽)

雑音に耳あそばせて日向ぼこ
(竹下しづの女)

三猿とならび腰かけ日向ぼこ
(福田蓼汀)

疾走するトラックの人ら日向ぼこ
(渡辺水巴)

雀とぶそれも光芒日向ぼこ
(皆吉爽雨)

砂よけのかげにも一人日向ぼこ
(阿部みどり女)

象のごと開きて日向ぼこの耳
(高澤良一)

その態(てい)は懺悔するさま日向ぼこ
(高澤良一)

焚火して日向ぼこして漁師老い
(鈴木真砂女)

たましひの出で入りしては日向ぼこ
(森澄雄)

ちかよりて老婦親しく日向ぼこ
(飯田蛇笏)

伝へ聞く友の栄華や日向ぼこ
(日野草城)

デスマスクある壁を背に日向ぼこ
(石原八束)

桃源のこゝろうとうと日向ぼこ
(河野静雲)

なにもなき元日もよし日向ぼこ
(中勘助)

年賀の座日向ぼこりを賜りし
(岸田稚魚)

人として淋しき人の日向ぼこ
(京極杞陽)

日に酔ひて死にたる如し日向ぼこ
(高浜虚子)

日向ぼこあの世さみしきかも知れぬ
(岡本眸)

日向ぼこ一家の舵を守りながら
(京極杞陽)

日向ぼこ犬にものぐさ太郎あり
(辻田克巳)

日向ぼこ神の集ひも日向ならむ
(大野林火)

日向ぼこ汽笛が鳴れば顔もあげ
(中村汀女)

日向ぼこ死が近く見え遠く遣り
(大野林火)

日向ぼこして聞き分くる物の音
(鈴木花蓑)

日向ぼこしてにこ~と待たれゐし
(星野立子)

日向ぼこしてはをらぬかしてをりぬ
(京極杞陽)

日向ぼこしてゐる前に落葉舞ひ
(高浜年尾)

日向ぼこ少しの暇なほうれし
(高木晴子)

日向ぼこするにも何處か気の引けて
(高澤良一)

日向ぼこ父の血母の血ここに睦め
(中村草田男)

日向ぼこ長身痩躯折り畳み
(高澤良一)

日向ぼこ年内といふ柵の内
(高澤良一)

日向ぼこに影して一人加はれり
(吉岡禅寺洞)

日向ぼこ仏掌の上にゐる思ひ
(大野林火)

日向ぼこまた爪をかむ継子かな
(飯田蛇笏)

日向ぼこめく一年がもう仕舞
(高澤良一)

日向ぼこ呼ばれて去ればそれきりに
(中村汀女)

日向より盲ひて戻る日向ぼこ
(阿部みどり女)

百までは生きるつもりの日向ぼこ
(菖蒲あや)

吹かれ来て影の怒髪や日向ぼこ
(香西照雄)

ふるさとにたよりおこたり日向ぼこ
(中村汀女)

ふるさとの朝日にあらで日向ぼこ
(永田耕衣)

まだ着居る国民服や日向ぼこ
(京極杞陽)

まなうらに駱駝の現るる日向ぼこ
(高澤良一)

まなぶたは今萬華鏡日向ぼこ
(加藤三七子)

見て見ぬふり友と自称や日向ぼこ
(香西照雄)

みどり児の足先ぴんと日向ぼこ
(今井千鶴子)

無為にして化すものもなし日向ぼこ
(中勘助)

胸もとを鏡のごとく日向ぼこ
(大野林火)

眼つむれば駆けりゐる血や日向ぼこ
(松本たかし)

眼の前に脱かれし下駄や日向ぼこ
(飯田蛇笏)

山裾に立もたれたる日向ぼこ
(松本たかし)

雪落つる光飛び来ぬ日向ぼこ
(鈴木花蓑)

雪の雄にしたがひて日向ぼこ
(飯田蛇笏)

老犬の如くに我も日向ぼこ
(京極杞陽)

 


【関連季語・子季語】


日向ぼっこ  日向ぼこり  日向ぼこう

 


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