無花果の青い実と葉

無花果

 

【鑑 賞】いちじくも九月半ばの影つくる

昭和前期から平成中期にかけての俳人・桂信子(かつらのぶこ)の作品。

めっきりと秋らしくなってきた頃の雰囲気に満ちた句。

 

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以下、季語「無花果」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 無花果  映日果  一熟

(ひらがな) いちじく  いちじゅく

(ローマ字) ichijiku  ichijuku

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


「無花果」の漢字からすると無花果は花が咲かないように思えますが、実際には花が咲きます。


From the Chinese character for “無花果”, it seems that figs do not bloom, but they actually do.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

尼寺の熟れ無花果に蜂通ふ
(右城暮石)

無花果熟れ地にきよらなる草生ふる
(飯田蛇笏)

無花果食ふ月に供へしものの中
(石田波郷)

無花果四五まんまと熟す四五人に
(永田耕衣)

無花果と映る無花果出水川
(山口誓子)

いちじくに母の拇指たやすく没す
(桂信子)

無花果にパンツ一つの明るさ立つ
(平畑静塔)

無花果の熟るる花街の濯ぎもの
(殿村菟絲子)

いちじくの熟れしを日曜日とせり
(細見綾子)

無花果のかげに白きは穂蘆かな
(河東碧梧桐)

無花果の神ながらなる青さかな
(右城暮石)

いちじくの甘露煮も菜飯熱し
(石川桂郎)

無花果の岸へ着きたる渡舟かな
(西山泊雲)

いちじくのけふの実二つたべにけり
(日野草城)

無花果の樹蔭の童女秋暑の日
(飯田蛇笏)

無花果の酸鼻なりしを食べ了る
(相生垣瓜人)

無花果の下ゆくときに渦を巻き
(山口誓子)

無花果の流れに入りて足洗ふ
(山口誓子)

いちじくの乳のしたたりつぐのへず
(平井照敏)

無花果の軒場の駕籠の埃かな
(西山泊雲)

いちじくの葉蔭に遠く耕せる
(桂信子)

無花果の葉と実と青きそのことを
(山口誓子)

無花果の花のジャン・ジュネ友斃れ
(坪内稔典)

無花果の葉の面の黴や秋の風
(西山泊雲)

無花果の一色は先づのがれけり
(野沢凡兆)

無花果の門の格子や水を打つ
(飯田蛇笏)

いちじくは子供に還り食うぶもの
(高澤良一)

いちじくは芽立ち松籟湧く如し
(楠本憲吉)

無花果もみだりに多くして卑し
(百合山羽公)

無花果や雨余の泉に落ちず熟る
(飯田蛇笏)

無花果や家運かたむけど琵琶抱く
(宮武寒々)

無花果や広葉にむかふ夕涼
(広瀬惟然)

無花果や八百屋の裏にまだ青し
(正岡子規)

無花果を女と北空を啜るように
(永田耕衣)

無花果を食ふ天刑の名をうけて
(平畑静塔)

無花果を食ふ百姓の短き指
(山口誓子)

無花果を食べ荒海の上にあり
(岸田稚魚)

無花果を手籠に湖をわたりけり
(飯田蛇笏)

無花果を採るやをとめの身を没し
(山口誓子)

無花果を盗まれ女ばかりの家
(橋閒石)

無花果を呑む楽しさや五つ程
(相生垣瓜人)

無花果を丸煮す秋日しみじみと
(及川貞)

駕籠かきの無花果の家教へられ
(西山泊雲)

家長たり無花果もいで直ぐ啜る
(山口誓子)

かみきりにいちじく甘露用意せる
(高澤良一)

黒板塀無花果多き小道かな
(正岡子規)

口中でつぶす無花果母の手経て
(桂信子)

倒れたる木に乗りて食ふ無花果を
(右城暮石)

ダム底の村いちじくがいてわらう
(八木三日女)

妻の機智無花果青く葉隠れに
(橋閒石)

 


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