二匹の亀

亀鳴く

 

【鑑 賞】 亀鳴くと嘘をつきなる俳人よ

明治中期から昭和前期にかけての俳人・村上鬼城(むらかみ きじょう)の作品。

何とも楽しい雰囲気に満ちた句。

 

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以下、季語「亀鳴く」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 亀鳴く

(ひらがな) かめなく

(ローマ字) kamenaku

 


季 節


 


【分 類】


動物

 


【意味・説明】


「亀鳴く」は、亀の鳴き声が聞こえてくるような春の雰囲気を表現する季語です。


“Kamenaku” is a season word expressing the spring atmosphere that seems to be able to hear the turtle’s crying voice.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

一日の眠き時間よ亀の鳴く
(稲畑汀子)

亀が鳴く実はさみしきことなりき
(松山足羽)

亀鳴いて己が不運を喞つなよ
(安住敦)

亀鳴いて声とはならぬ夕間暮
(堀口星眠)

亀鳴いて心の流転とめどなし
(鈴木真砂女)

亀鳴いて竹敷く床は寒からむ
(石川桂郎)

亀鳴きて亭主は酒にどもりけり
(内田百間)

亀鳴くといへばすずろに聞かれけり
(岸田稚魚)

亀鳴くと句碑の裏側のぞきゆく
(長谷川かな女)

亀鳴くとたばかりならぬ月夜かな
(富田木歩)

亀鳴くと塔婆の池をたもとほり
(阿波野青畝)

亀鳴くと詠ひし吾をなとがめそ
(阿波野青畝)

亀鳴くは己の拙を泣くごとし
(石原八束)

亀鳴くや足棒にして古寺巡り
(百合山羽公)

亀鳴くや一升瓶に手が伸びる
(成田千空)

亀鳴くや神楽に集ふ湯治客
(古舘曹人)

亀鳴くや亀の旧学はもう書けず
(能村登四郎)

亀鳴くや子に艱難を与ふべきか
(村山古郷)

亀鳴くや掴みそこねし運の果て
(鈴木真砂女)

亀鳴くや妻にとらるる言葉尻
(橋本榮治)

亀鳴くや土手に赤松暮れ残り
(内田百間)

亀鳴くや柱ラムプの照返し
(久保田万太郎)

亀鳴くや皆愚かなる村のもの
(高浜虚子)

亀鳴くや夢に通へと枕打ち
(鈴木真砂女)

亀鳴くを欠伸を噛みし時聞けり
(能村登四郎)

亀鳴くを信じてゐたし死ぬるまで
(能村登四郎)

亀鳴くを塞ぎの虫の聞き知れり
(相生垣瓜人)

亀鳴けりやうやう主旨が伝はりて
(高澤良一)

その中の齢嵩入った亀鳴けり
(高澤良一)

大丈夫づくめの話亀が鳴く
(永井龍男)

つぎの世は亀よりも蛇鳴かせたし
(桂信子)

つぶやきを亀に移して鳴かせけり
(鈴木真砂女 )

湯治して一人は亀が鳴くと言ふ
(阿波野青畝)

ほぎごころこの古池の亀も鳴き
(山口青邨)

ほどほどに励めと亀の鳴くゆふべ
(古賀まり子)

 


【和歌・短歌に詠まれた「亀鳴く」】


川越の
をちの田中の夕闇に
何ぞと聞けば亀のなくなり
(藤原為家)

 


【関連季語・子季語】


亀の看経

 


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