神無月
【鑑 賞】柿熟るゝや臥して迎へし神無月
明治中期から昭和前期にかけての俳人・杉田久女(すぎたひさじょ)の作品。
深まってゆく秋の雰囲気に満ちた句。
以下、季語「神無月」の解説です。
【表 記】
(漢字) 神無月
(ひらがな) かんなづき
(ローマ字) kannazuki
【季 節】
冬
【分 類】
時候
【意味・説明】
神無月は、旧暦の十月の異称です。
Kannazuki is an alias of the lunar calendar October.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
赤々と朝日卒寿の神無月
(阿部みどり女)
独活畑も川も失せけり神無月
(石田波郷)
近江とは観音どころ神無月
(阿波野青畝)
影踏みは男女の遊び神無月
(坪内稔典)
拍手もかれ行森や神無月
(横井也有)
風寒し破れ障子の神無月
(山崎宗鑑)
神あそびせし庭ひろし神無月
(阿波野青畝)
神ながら巌ぞ立てり神無月
(原石鼎)
神無月飴いろなして火吹竹
(飯田龍太)
神無月賽銭箱はなかりけり
(正岡子規)
神無月テレビ画面に雪降れり
(右城暮石)
神無月女人四五人高千穂へ
(飯田龍太)
神無月や雨月の傘に散る紅葉
(西山泊雲)
この神のもと仏なり神無月
(阿波野青畝)
砂糖壺つかふことなし神無月
(石田波郷)
山中にありて飲食神無月
(岸田稚魚)
参道の松に透く田や神無月
(尾崎迷堂)
椎の樹の雨はらはらと神無月
(山口誓子)
島の背に魚座のわれや神無月
(佐藤鬼房)
空狭き都に住むや神無月
(夏目漱石)
大根の青き頭や神無月
(野村喜舟)
高き木の立並びけり神無月
(阿波野青畝)
たらちねとして日々深し神無月
(中村草田男)
戸を閉すときの灯のいろ神無月
(飯田龍太)
賑へる境内にして神無月
(稲畑汀子)
にはとりの黄のこゑたまる神無月
(飯田龍太)
梯子より人の匂ひや神無月
(桂信子)
人顔も旅の昼間や神無月
(炭太祇)
道はたや鳥居倒れて神無月
(正岡子規)
名物の蚊の長いきや神無月
(正岡子規)
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