木の枝に残っている枯葉

枯 葉

 

【鑑 賞】 一枚の枯葉に触るる風の音

昭和前期から令和初期にかけての俳人・稲畑汀子(いなはたていこ)の俳句作品。

風に吹かれて震える枯葉と、それを取り巻く冬の情景が目に浮かんでくる句。

 

スポンサーリンク

 

 

以下、季語「枯葉」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 枯葉  枯れ葉

(ひらがな) かれは

(ローマ字) kareha

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


「枯葉」は、文字通りに枯れた葉のことをいうので、木の枝などに残っているものにも、地上に落ちたものにも用いられる季語です。

スポンサーリンク

 


【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

明日は粽難波の枯葉夢なれや
(松尾芭蕉)

幾つもの死がありてとぶ枯葉栗鼠
(和知喜八)

いちまいの枯葉を肩に霜夜来ぬ
(大野林火)

一枚の焼肉何の枯葉ぞや
(山口青邨)

一匹の羊と枯葉クリスマス
(原裕)

今落ちし枯葉や水にそり返り
(星野立子)

色かへぬ松をあはれむ枯葉哉
(正岡子規)

鴬のひよひと皃出す枯葉哉
(加藤曉台)

うぐひすや竹の枯葉をふみ落し
(山本荷兮)

海なりや枯葉の舞の雪の墓
(角川源義)

梅畑の栗の枯葉のあたたかし
(細見綾子)

老松の枯葉を誘ふ凍つよし
(前田普羅)

奥能登や道に枯葉の侏儒の舞
(角川源義)

母屋の御簾に葵の枯葉風薫る
(正岡子規)

温室内枯蔓枯葉一つなし
(右城暮石)

風うけて蘆の枯葉や流れ行く
星野立子)

からたちの棘の挟める一枯葉
(高澤良一)

枯葉一枚すがる金輪際天の梢
(山口青邨)

枯葉一枚はりつく石の化石めき
(山口青邨)

枯葉落つ妻在らぬ燈をともすとき
(大野林火)

枯葉しかと小枝にあるや日の冬木
(高浜年尾)

枯葉田に飛ぶとき湖の鮮やかに
(古舘曹人)

枯葉散るわが身に触れぬままに散る
(仙田洋子)

枯葉つけし桑と薄墨月信濃
(古沢太穂)

枯葉つけて椢聳えぬ雪の土手
(西山泊雲)

枯葉鳴るくぬ木林の月夜かな
(正岡子規)

枯葉払つて竹の高さの冬日かな
(大谷碧雲居)

枯葉踏む否漕ぐ深さ宿場跡
(林翔)

枯葉より冷めたき母の手を握る
(上村占魚)

枯葉を鎧う女泉を抱き眠る
(八木三日女)

雲のがれ来し日寄り添ふ枯葉の碑
(角川源義)

栗枯葉反り切つて落つわさび田ヘ
(細見綾子)

桑くくる枯葉二三枚づつ梢に
(山口青邨)

氷閉ぢ込めて華やぐ杉枯葉
(右城暮石)

凩や枯葉する~と馳り出す
(寺田寅彦)

子雀のよにまろび来る枯葉かな
(富田木歩)

このまろき石一枚の枯葉のせ
(山口青邨)

自身誰重さ放さず枯葉在り
(永田耕衣)

シャツ赤く来しが枯葉に鞭鳴らす
(篠田悌二郎)

白き蔓白き枯葉の烏瓜
(後藤夜半)

杉寒し枯葉しきりに吹き落ちて
(松本たかし)

すずかけの枯葉集めし焚火かな
(細見綾子)

炭斗に菊の枯葉のこぼれけり
(金尾梅の門)

セーターに枯葉一片旅さむし
(加藤楸邨)

雑木林に面白く枯葉浮びけり
(高浜年尾)

高燈籠枯葉と共に卸しけり
(藤野古白)

焚かんとす枯葉にまじる霰哉
(夏目漱石)

つきさゝる枯葉一枚枝の先
(高浜虚子)

遠くゐるは枯葉のごとし牛蒡引
(森澄雄)

どんぐりが枯葉すべりてまた落ちる
(細見綾子)

南無枯葉一枚の地にひざまづく
(佐藤鬼房)

鳰鳴けり落ちぬ雑木の枯葉見て
(右城暮石)

波郷忌に参ず着物は枯葉色
(鈴木真砂女)

爆音やおもひつめたる目に枯葉
(加藤秋邨)

初雪や真葛の枯葉降りつたふ
(松岡青蘿)

母の忌や枯葉吹きたむ墓の裏
(松崎鉄之介)

隼に枯葉の空をきはみなく
(百合山羽公)

日だまりの枯葉いつとき芳しき
(石橋秀野)

人目も草もしどろに葛の枯葉哉
(加藤曉台)

ひゝらぎの枯葉も落る散る柳
(河東碧梧桐)

昼の虫枯葉のごとく母睡り
(古賀まり子)

冬枯に枯葉も見えぬ小笹哉
正岡子規)

朴枯葉かさばりおちて流れけり
(飯田蛇笏)

満月へ枯葉の昇る一葉忌
(林翔)

店の中も枯葉の色に俑を売る
(大野林火)

みなだまりしときや枯葉のうらがへる
(加藤秋邨)

みの虫のまとひし萩の枯葉かな
(細見綾子)

むら雨に枯葉をふるふささげかな
(飯田蛇笏)

物をいふ風の枯葉を顧る
(高浜虚子)

露座仏に下生の影す枯葉浴び
(殿村莵絲子)

 


【関連季語・子季語】


落葉

 


【他の季語を探す】


春の季語

夏の季語

秋の季語

冬の季語

新年の季語

五十音で探す

 

スポンサーリンク