富士山の麓の霞

 

【鑑 賞】富士にたつ霞程よき裾野かな

江戸時代末期から明治中期にかけての俳人・井上井月(いのうえせいげつ)の作品。

雄大な富士山の姿が目に浮かんでくる句。

 

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以下、季語「霞」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 霞

(ひらがな) かすみ

(ローマ字) kasumi

 


季 節


 


【分 類】


天文

 


【意味・説明】


「霞」「野霞」などは名詞として用いますが、「霞む」として動詞で使うこともあります。


“Kasumi” and “nogasumi” are used as nouns, but “kasumu” is also used as a verb.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

青柳の朝寝をまくる霞かな
(加賀千代女)

厚ぼたき大福餅や野の霞
(久米正雄)

迹供は霞引きけり加賀の守
(小林一茶)

一銭の釣鐘撞くや昼霞
(正岡子規)

一本の杖の行手に夕霞
(桂信子)

いぶり炭蓬莱の霞かもしけり
(高田蝶衣)

海きら~帆は紫に霞けり
(森鴎外)

うみ山を霞いれたる坐敷かな
(松岡青蘿)

大船の岩におそるゝ霞かな
(炭太祇)

霞消て富士をはだかに雪肥たり
(榎本其角)

霞立つふるさとに入る遠忌かな
(高澤良一)

かすみつゝ月上りゐし雪後かな
(石塚友二)

かすみての夜の春寒し星の照
(幸田露伴)

霞より引つゞく也諸大名
(小林一茶)

風返し峠風なき日の霞
(稲畑汀子)

元日を遥に伊勢の霞かな
(会津八一)

消えがてに漁火ちら~と夕霞
(鈴木花蓑)

菊昔ながら畿内の霞かな
(石井露月)

桐火桶霞うぐひすのこゝろあり
(松岡青蘿)

国に添て霞をはこぶうしほ哉
(加舎白雄)

九重の霞たへ也このあした
(尾崎紅葉)

こちからも越の山路や八重霞
(立花北枝)

さらし布かすみの足に聳へけり
(小林一茶)

三三と下手に書いたる霞哉
(尾崎紅葉)

三条をゆがみもて行霞かな
(高井几董)

山頂に塔かすみをり一の午
(原裕)

蘇芳の花見るたび霞濃くなりぬ
(内藤吐天)

すこしくは霞を吸つて生きてをり
(能村登四郎)

雪嶺と色同じくて霞立つ
(相馬遷子)

仙人の棲むてふ谿も霞中
(京極杞陽)

たなびける六十年の霞かな
(久保田万太郎)

谷杉の紺折り畳む霞かな
(原石鼎)

転身を念ふ恍惚と霞濃し
(内藤吐天)

何處やらに鶴の聲聞く霞かな
(井上井月)

どやきけり聞て里しる八重霞
(井原西鶴)

鳴交す鴉の嘴の霞かな
(野村喜舟)

庭松に裏山霞下りてあり
(鈴木花蓑)

はなを出て松へしみこむ霞かな
(服部嵐雪)

ぱらついて雨は霞となつてしまふ
(細見綾子)

春近き雪よ霞よ淀の橋
(松瀬青々)

百姓は地にすがりつく霞かな
(飯田蛇笏)

古き代の漁樵をおもふ霞かな
(飯田蛇笏)

星きへて霞かゝれる檜原哉
(加舎白雄)

水すでにあぶらのごとき霞かな
(久保田万太郎)

麦をふんで霞をわかす山わかな
(中勘助)

武蔵野の幅にはせばき霞哉
(服部嵐雪)

山やまに霞わきたつ峡の春
(中勘助)

山山を霞がつなぎ母の国
(長谷川双魚)

夕眺めいつとゝのへる霞かな
(久保田万太郎)

ゆく春の干潟かすみに酔へりけり
(臼田亜浪)

 


【関連季語・子季語】


朝霞  昼霞  夕霞

野霞  山霞

 


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