如 月
【鑑 賞】きさらぎやふりつむ雪をまのあたり
大正初期から昭和中期にかけての小説家・俳人である久保田万太郎(くぼたまんたろう)の作品。
まだ寒さの続く冬の情景が目に浮かんでくる句。
以下、季語「如月」の解説です。
【表 記】
(漢字) 如月
(ひらがな) きさらぎ
(ローマ字) kisaragi
【季 節】
春
【分 類】
時候
【意味・説明】
如月は、旧暦の二月の異称です。
Kisaragi is an alias of the lunar calendar February.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
きさらぎのあえかな渦も大鳴門
(上村占魚)
きさらぎのあけくれ波の音ばかり
(鈴木真砂女)
きさらぎの一夜をやどる老舗かな
(飯田蛇笏)
如月の牛をうながす夜潮の香
(長谷川かな女)
きさらぎの風にも覚めぬ翁かな
(永田耕衣)
如月の櫟林の日ざしかな
(野村喜舟)
如月のことに閏の月繊く
(永井龍男)
きさらぎの暦を切って落しけり
(高澤良一)
きさらぎの信濃や鯉と松葉酒
(福田蓼汀)
きさらぎの捨てて火ばしる爐灰かな
(西島麦南)
きさらぎの墨滓固き硯かな
(飯田蛇笏)
きさらぎのひじき煮る日は友を呼ぶ
(坪内稔典)
きさらぎの灯のさしこめる柩かな
(永田耕衣)
きさらぎの日和もよしや十五日
(上島鬼貫)
きさらぎの風塵たちぬ墓籬
(西島麦南)
きさらぎの門標をうつこだまかな
(飯田蛇笏)
きさらぎの藪にひびける早瀬かな
(日野草城)
如月の夜風どこぞの家とざす
(富田木歩)
きさらぎは薄闇を去る限のごとし
(飯田龍太)
きさらぎや火燵のふちを枕本
(服部嵐雪)
きさらぎや山茶花寒きわすれ花
(松岡青蘿)
きさらぎや小夜のくだちのマンドリン
(日野草城)
如月や十字の墓も供会一処
(川端茅舎)
如月や濤が濤呑む日本海
(鈴木真砂女)
きさらぎや見えざる緑野にひしめき
(相馬遷子)
如月や雪をあざむく手漉紙
(百合山羽公)
きさらぎやよう似た物はふたらくや
(椎本才麿)
きさらぎをぬけて弥生へものの影
(桂信子)
伸び縮みして如月の風の影
(佐藤鬼房)
喪の家にありきさらぎの藪濃ゆし
(桂信子)
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