啄木鳥
【鑑 賞】啄木鳥のつゝき落すやせみのから
明治時代の俳人・歌人である正岡子規(まさおかしき)の作品。
「せみのから」と「啄木鳥」から、季節の移り変わりが感じられる句。
以下、季語「啄木鳥」の解説です。
【表 記】
(漢字) 啄木鳥
(ひらがな) きつつき、けら、けらつつき
(ローマ字) kitsutsuki
【季 節】
秋
【分 類】
動物
【意味・説明】
「啄木鳥」の漢字表記は、「木を啄ばむ鳥」という意味です。
The kanji character for “啄木鳥” means “a bird pecking at a tree.
【俳句例】
※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。
苛立ちの啄木鳥が降らせる木屑かな
(能村登四郎)
悲めば啄木鳥小法師谺せり
(川端茅舎)
枯草に山彦ねむり啄木鳥
(飯田龍太)
啄木鳥が穿てる洞や葛の花
(石塚友二)
啄木鳥がつく洋館の木の部分
(山口誓子)
啄木鳥と畳越しなるお元日
(松山足羽)
啄木鳥に泉の水輪絶ゆるなし
(水原秋桜子)
啄木鳥に口つぐむ巫女老いたりや
(橋閒石)
きつつきに戸をたゝかれし夜寒かな
(鈴木真砂女)
啄木鳥に日和さだまる滝の上
(飯田蛇笏)
啄木鳥に俤も世もとどまらず
(加藤秋邨)
啄木鳥の横着ぶりや貸別墅
(阿波野青畝)
啄木鳥の影ながらすぐ声となる
(堀口星眠)
きつつきの来て雪晴の直ぐなる樹
(大野林火)
啄木鳥の黒き小さき首見えし
(川端茅舎)
啄木鳥のこぼせるものの落ちもこず
(皆吉爽雨)
啄木鳥の巣穴に入るを見つけたり
(右城暮石)
啄木鳥の絶えまを初夏の雲冷えて
(渡辺水巴)
啄木鳥のたゝくこだまに塔聳ゆ
(高浜年尾)
啄木鳥のたちばに近き梢かな
(内藤丈草)
啄木鳥のつきつめし音町の森
(平井さち子)
啄木鳥の啄く若葉の枯木かな
(右城暮石)
啄木鳥の羽美しくうつりけり
(原石鼎)
啄木鳥の纔に木霊の耳を澄ます
(尾崎紅葉)
啄木鳥の魔性見えたり冬の暮
(堀口星眠)
啄木鳥のまのあたりなる幹太き
(高浜年尾)
啄木鳥は嘴かんかんと寒木に
(山口誓子)
啄木鳥も来さうな接木しある宿
(右城暮石)
啄木鳥や行者の道の岩伝ひ
(河東碧梧桐)
啄木鳥も札打つやうに聞えけり
(椎本才麿)
啄木鳥や木の葉の渦を見るばかり
(竹下しづの女)
啄木鳥や玉垣やぶる音止まず
(阿波野青畝)
きつつきや妻あり避暑の女として
(古館曹人)
啄木鳥や道具負ひゆく飛騨大工
(加倉井秋を)
啄木鳥や堂に廻船入港図
(岡井省二)
啄木鳥や日輪かくす幹不思議
(川端茅舎)
啄木鳥や人は世にゐて声も褪せ
(加藤楸邨)
啄木鳥や日の円光の梢より
(川端茅舎)
啄木鳥や山しんとして晝の月
(正岡子規)
啄木鳥よ汝も垂直登攀者
(福田蓼汀)
きつつきを頑是なきより聞分けし
(平畑静塔)
啄木鳥をなぞふ寒鴉の醜きに
(山口誓子)
木のうろに隱れうせけりけらつゝき
(正岡子規)
霧流れ朝啄木鳥の声きざむ
(相馬遷子)
首振れば啄木鳥小法師谺せり
(川端茅舎)
こもり音に啄木鳥叩く又叩く
(原石鼎)
淋しさにつゝいてみるか啄木鳥
(松瀬青々)
春暁の啄木鳥きゝつ厠かな
(西山泊雲)
手斧打つ音も木ぶかし啄木鳥
(与謝蕪村)
電柱をつゝく啄木鳥吉野山
(右城暮石)
【関連季語・子季語】
けら けらつつき
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