山の形をした入道雲

雲の峰

 

【鑑 賞】立ちならぶ有象無象や雲の峰

明治後期から昭和中期にかけての歌人・会津八一(あいづやいち)の作品。

雲の形が様々なものに見えてくる面白さが感じられる句。

 

スポンサーリンク

 

 

以下、季語「雲の峰」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 雲の峰

(ひらがな) くものみね

(ローマ字) kumonomine

 


季 節


 


【分 類】


天文

 


【意味・説明】


雲の峰とは、夏になってもくもくと空に浮かぶ、峰のような形をしている雲のことをいいます。


“kumonomine” is peak-shaped clouds that float in the sky in summer.

スポンサーリンク

 


【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

厚餡割ればシクと音して雲の峰
(中村草田男)

雨と成恋はしらじな雲の峰
(与謝蕪村)

蟻の道雲の峰よりつづきけん
(小林一茶)

生きながら雲の峯とやなりぬらん
(寺田寅彦)

いくさ息む一葦かなたの雲の峰
(石塚友二)

うしろより月日蹤きくる雲の峰
(飯田龍太)

尾花吹くスコール速し雲の峰
(横光利一)

怪鳥を出して見せうぞ雲の峰
(高澤良一)

空をはさむ蟹死にをるや雲の峰
(河東碧梧桐)

雲の峰いくつ並びて海の盆
(森澄雄)

雲の峰おのれに甘えゐる間なし
(飯田龍太)

雲の峰崩れんとしてなほ高く
(高浜年尾)

雲の峰けふまたおなじかたにかな
(久保田万太郎)

雲の峰高きは女人禁制す
(平畑静塔)

雲の峰葱の坊主の兀と立つ
(河東碧梧桐)

雲の峰八方焦土とはなりぬ
(加藤楸邨)

雲の峰晩年は充つ悲しみに
(殿村莵絲子)

雲の峰ほどの思ひの我にあらば
(松瀬青々)

雲の峰凌雲閣に並びけり
(正岡子規)

黒船の瀬戸に入りけり雲の峰
(夏目漱石)

桑摘みの昼をもどるや雲の峰
(臼田亞浪)

最高となりて崩るる雲の峰
(池田秀水)

死なんとていづちをあゆむ雲の峰
(石原八束)

写真屋の塔をなす屋根雲の峰
(京極杞陽)

順々にうごき出しけり雲の峰
(小林一茶)

檣頭の桶に旗振る雲の峰
(野村泊月)

白樺の馬柵より雲の峰は湧く
(福田蓼汀)

すき腹に風の吹けり雲の峰
(小林一茶)

祖国遠し方位の果の雲の峰
(皆川白陀)

滝の上に光りて小き雲の峰
(野村泊月)

たのもしや西紅の雲の峰
(小林一茶)

つち風のおし動かすや雲の峯
(高井几董)

遠ざかる基地よ幕舎よ雲の峰
(皆川白陀)

投出した足の先也雲の峰
(小林一茶)

にごり江を鎖す水泡や雲の峰
(芝不器男)

寝てくらす麓の嵯峨ぞ雲の峰
(小西来山)

寝むしろや足でかぞへる雲の峰
(小林一茶)

望なき身を横ふや雲の峰
(会津八一)

初恋のモールス信号雲の峰
(仙田洋子)

浜木綿や暁よりたてる雲の峰
(鈴鹿野風呂)

ひら~と海女潜り消ゆ雲の峰
(鈴木真砂女)

船この日運河に入るや雲の峰
(夏目漱石)

ほの~と日出づる前の雲の峰
(原石鼎)

牧はるか屯す馬に雲の峰
(阿部みどり女)

溝川に蓮咲きけり雲の峰
(泉鏡花)

胸はりて水着の娘雲の峰
(星野立子)

物干しの猿股遠し雲の峰
(内田百間)

諸肌を脱ぎいなせなる雲の峰
(高澤良一)

藪越しに動く白帆や雲の峰
(永井荷風)

ゆづり葉に一線の朱や雲の峰
(原石鼎)

 

 


【関連季語・子季語】


峰雲  雲峰  入道雲

 


【他の季語を探す】


春の季語

夏の季語

秋の季語

冬の季語

新年の季語

五十音で探す

 

スポンサーリンク