猫柳の花

 猫 柳

 

【鑑 賞】帰らざる猫に雨ふるねこやなぎ

昭和時代から平成初期にかけての俳人・加藤秋邨(かとうしゅうそん)の作品。

猫と猫柳の組合せに、何とも面白味が感じられる句。

 

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以下、季語「猫柳」の解説です。

 


【表 記】


(漢字) 猫柳

(ひらがな) ねこやなぎ

(ローマ字) nekoyanagi

 


季 節


 


【分 類】


植物

 


【意味・説明】


猫柳は、ヤナギ科の落葉低木です。

水辺に自生して、高さは 3m ほどになります。

雄花の花穂が猫の尾に似ていることから、この名前がつけられました。


Nekoyanagi is a deciduous shrub of the Salicaceae.

It grows naturally on the waterside, and its height is about 3 meters.

This name was given because the spica of the male flower is similar to the cat’s tail.

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【俳句例】


※ 有名俳人の俳句を中心に集めました。

あたたかや皮ぬぎ捨てし猫柳
(杉田久女)

一本の杭ぜの飛沫猫柳
(西山泊雲)

思ひ出やこれはお花の猫柳
(石塚友二)

川幅が余すひかりの猫柳
(鷲谷七菜子)

きさらぎの音に色あり猫柳
(神蔵器)

来て見ればほゝけちらして猫柳
(細見綾子)

ぎんねずに朱ヶのさばしる猫柳
(飯田蛇笏)

銀の爪くれなゐの爪猫柳
(竹下しづの女)

暮れなづみ花のみそれと猫柳
(高浜虚子)

そこらいつも妻のこゑあり猫柳
(森澄雄)

九十九髪編みて日当てよ猫柳
(香西照雄)

ときをりの水のささやき猫柳
(中村汀女)

としよりに猫柳朱を沁じませる
(松村蒼石)

猫柳女の一生火のごとし
(三橋鷹女)

猫柳子供が挿して咲きにけり
(富安風生)

猫柳湖畔の春はととのはず
(五十嵐播水)

猫柳だいぶ陽気がよくなって
(高澤良一)

猫柳高嶺は雪をあらたにす
(山口誓子)

猫柳旅の心になつかしき
(高野素十)

猫柳月の国よりもたらせし
(山口青邨)

猫柳天は明るく地は暗し
(京極杞陽)

ねこやなぎ名残りの雨に日の通る
(飯田蛇笏)

猫柳日輪にふれ膨らめる
(山口青邨)

猫柳光もみ出すごときかな
(平井照敏)

猫柳呆けて天の青き見ず
(加藤楸邨)

猫柳みどりの蕊を吐いて咲く
(山口青邨)

沼辺りの大地傾く猫柳
(稲畑汀子)

薄明や水のなかにも猫柳
(桂信子)

春めくや銀ほどきたる猫柳
(吉岡禅寺洞)

陽に睡り月に目覚めて猫柳
(飯田龍太)

午過ぎは風立ちやすし猫柳
(相馬遷子)

日をゆりて水よろこべり猫柳
(石原舟月)

万葉の古江の春や猫柳
(水原秋桜子)

ゆく春や穢くなりしねこやなぎ
(百合山羽公)

行く水におそき月日や猫柳
(高橋淡路女)

流水や泡せきとめて猫柳
(西山泊雲)

 


【関連季語・子季語】


川柳

 


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